朝田

スウィング・キッズの朝田のレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)
4.2
かの韓国映画の名作「サニー永遠の仲間たち」の監督らしい、ポップミュージックと同期させたようなリズミカルな編集、滑らかなカメラワークとユーモアのセンスが炸裂している。戦争映画という土俵を借りて「サニー」をリメイクしたと言っても良い程の青春映画だ。同時に、戦時下を舞台にした時に避けられない無情でグロテスクな現実にも目を背ける事なくきちんと向き合う。この姿勢が誠実。さらに、終盤は戦争を終えた後まで時間を飛ばし、「戦争の記憶」をどう受け止めるか?という所まで描きっているのが見事。作品全体としてはとにかく編集が巧み。タップダンスの足元から、兵士たちの歩行にカットが切り替わったり、カメラが横に移動するといつの間にか違う時間の違う舞台に移行したりと、時間の省略が随所に、しかも滑らかに行われているためヘヴィーでシリアスな展開でありながらどこか良い意味での軽さが常に持続している。終盤のボウイのモダン・ラブと共に主人公とヒロインが走る、というあまりにあからさまな「汚れた血」のオマージュは、少し図式的な感覚はありつつ、やはりカラックスファンとしては涙腺を刺激されてしまう。韓国の割と職人気質の映画監督がカラックスのオマージュをしたという事実にも驚かされる。「サニー」を愛した人間ならば好きにならざるを得ない。
朝田

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