柏エシディシ

マルモイ ことばあつめの柏エシディシのレビュー・感想・評価

マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)
3.0
アップリンクさん「見逃した映画特集2020」にて。
文字通り、見逃していた一本。
見逃さなくて良かった一本。
日帝時代の朝鮮を舞台にした言語弾圧とそれに抗った勇気ある人々の物語。
テーマの重さは特に我々日本人はしっかり受け止めなければならないところ。
しかし、エンターテイメントとしても良く出来ている所が関心する。
それは娯楽として社会的テーマを貶めるという事ではなく、確実に見る人の間口を広げ、リテラシーを育んでいるはず。
韓国映画はこの点で日本映画に何歩も先を行っていると、毎度思う。

「タクシー運転手」の脚本を書いた方が監督と知って納得。
史実をエンターテイメントに落とし込む手際。背景の違う二人の男のバディムービーという側面。基本構成は同じ。
本作においては、そこに「ことば」という要素が加わり、言語と人々の共同体意識や知と学の役割の重要性を問い直すより広義のテーマにも向かっていて、よりグローバルな作品になっていると思う。

もはや、その個性は韓国映画の中でも突出して久しいユ・ヘジンをはじめ、役者陣が素晴らしい。
街の落伍者たちが、思わぬ活躍をするこの映画のシーンが大好きなのだけれど、また数年後にはこの中からユ・ヘジンの様な性格俳優が誕生しているかもしれない。
端役に至るまで、みんな良い顔した役者さんたちばかりなのだ。
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