TVアニメの25周年PVがYouTubeで公開され、懐かしくなって再見。
細田守の最高傑作。「田舎と都会と電脳空間」というお馴染みのモチーフを吉田玲子の脚本が40分で過不足なくまとめている。同一ポジション内で人物が消えたり、同じ動作を反復したりする細田守演出は既に冴え渡っており、キャラを過剰に動かさずともエモーショナルな絵作りが出来ている。完成度は高く、TVアニメ未見の方にもオススメしたい。
2DのキャラクターがCGの電脳空間に入り、タイムリミットサスペンスで惹きつける終盤は完全に「サマーウォーズ+竜とそばかすの姫」で、細田守は未だに今作の成功を追い求めているように思える。
長期休みに入った小学生のいつもより静かな日常と、サイバー攻撃で世界が崩壊していく様子を並行して描くオープニングが秀逸(夏休みが舞台だと思っていたが春休みだったと今回知った。公開時期に合わせたらしい)。
TVアニメのエンディングから数ヶ月後という設定で、冒険を終えた子どもたちは、それぞれの道を歩み始め、少しだけ大人になっている。「幼少期が終わる予感」が作品に満ちていて、そうしたパーソナルな物悲しさと、20世紀と共に世界が終わる気がしていた、あの時代の終末観を重ねて描いているのがとても良い。
細田守はインターネットで世界が繋がることをいかにポジティブに描けるか苦心してきた作家だと思うが、どうしても説教臭くなりがちなきらいがある。ネットで浴びせられる「善意」と「悪意」を等しく最終決戦に活用する今作のアイデアはその辺をフラットに描けているし、オチもシンプル。今作と比べると、サマーウォーズや竜とそばかすの姫は無駄な要素が多く感じてしまう。