通りすがりのアランスミシー

天気の子の通りすがりのアランスミシーのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.1
ある映画評論家が「金持ちの童貞ポエム」と本作を批判していた。
全く持ってその通りであり、そんなことを言われたら「おっしゃる通り」としか返答のしようがない。
はっきり言って新海誠の脚本は最低だ。幼稚で稚拙で不器用で不自然で、本当にどうしようもない。
本作の鑑賞中も私はあまりの気持ち悪さに何度も客席で身悶えした。
しかし、その不出来な脚本が新海監督の演出と合わさると「……アリかナシかで言えばアリ」に化けてしまう。
ハイパーリアルな作画とセカイ系演出を踏襲した描写、コマギレのカッティング。
これらはすべて新海監督初期作品からの特徴であり、内容が気持ち悪い反面、映像自体は驚くほどの感覚的刺激に満ちている。
こういう人がまともな脚本で映画を撮ったらどうなるかという興味はあるが、まともな脚本を得たらその味も失われてしまうのだろう。
世の中とはうまいバランスで出来ているものだ。