こめっと

2分の1の魔法のこめっとのネタバレレビュー・内容・結末

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

原題:Onward
原題は向上、とか先へという意味だそう。

滅茶苦茶泣いた。
これはもうアナ雪とは違うタイプだけど兄弟姉妹居る人はめちゃ刺さるんじゃなかろうか…。
兄弟姉妹に限らず、自分より年上だったり、いつもはしっかりしていて自分を持っていて何も悩みもコンプレックスも無さそうな身近な人にバーリーを重ねて見てしまう。

イアンが父親に会いたいと思っているのとバーリーが父親に会いたいと思っている気持ちは天秤にかけられるようなものじゃない。
でも、現実世界ではどうしても分けられないものは「お兄ちゃんだから我慢する」と弟に譲ってあげるなんて話はよく聞く。
バーリーは父親を知らないイアンの兄であり父でもあるんだなというのが冒頭から全編通してよく描かれてる。(イアン本人も言ってるし)魔法を上手く発動できないイアンを励ます所、大好きな魔法の才能が自分には無いのに弟がそれを持っている事に嫉妬するのではなく本人以上に喜ぶところ、自転車の練習の様に「離さないでね」「ちゃんと持ってるよ」とお決まりの台詞を言いながらロープを持っているところなど。(余談だけどこのシーンでイアンを心配して泣くバーリーが良すぎて私も泣いた。ハラハラしている描写だけじゃなく心配で泣くという演出にした人凄い。)
父親の代わり(という言葉はあまり好きじゃないけど)を仕方無くやるんじゃなく、イアンの事が好きで誇りで自然とそうなってる感じが良い。

私は完全ハッピーエンドが大好きなので家族全員とお父さんに会って欲しかったけど、コンセプトが「イアンの成長物語」なら仕方無いのかもという印象。
別に「イアンが成長する為にお父さんに会う必要はない」という意味じゃなくて、「一度しかない(分けられない)チャンスを、今まで自分に色んなものをくれてきたお兄ちゃんに譲ってあげる」というお兄ちゃんが甘やかしてもらえる日、弟がひとつ大人になって弟としてじゃなく対等な親友として隣に立った日、みたいなイメージ。

と、色々言ったけどやっぱり丸1日家族で幸せに語らって欲しかったなぁ。(笑)
最初からイアンがバーリーを頼って、バーリーは上手くイアンを支えられてたら…と思わずに居られないけど、そうしたらお話は始まらないね。(笑)

ちょっとしたギャグやオマージュや魔法があ“った”世界という設定を使った面白味も散りばめられていて楽しい。
お母さんがしてるエクササイズが最後の闘いに役立ってるとか、不死鳥の石の地図の隣にメリダの国の紋章があるとか、ユニコーンが野良猫や蝙蝠的な立ち位置だったりペットはドラゴンだったり。ペットを飼ってるのはお父さんを引っ張るリードが出て来ても不自然じゃないようになのかな?(笑)
ところで何故バンの名前がグウィネヴィアなのかが気になるところ。不貞の女、としてあまり良いイメージはないのだが…。でもまぁグウィネヴィアが岩に突撃する所は滅茶苦茶笑ってちょっと感動したな。

声優は今ホットなトム・ホランド、クリス・プラット、オクタヴィア・スペンサー、など。日本語版は城田優やハリセンボンの近藤春菜等がなかなかのハマり役。
基本的には俳優吹替え反対派だけど、イメージが合わない、とか観てて気が散る、って程の下手さじゃなければオッケーです。
こめっと

こめっと