おーもり

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのおーもりのレビュー・感想・評価

4.2
サムライミの趣味やりましたって感じで大変喜ばしいですね。
MCUでホラーやるからには最上級でおもてなししますよ!って気概を感じる。
本作で設定されたまさかのヴィラン、そしてそのスーパーパワーによる大虐殺。
ここまでやっていいんだ!という嬉しさもある。
演者たちのカメラ目線が多かった。そしてそれが観客側が見られている感じがして怖い。

前作に引き続き期待していた、これまでこんな映像観た事ない!!ってビジュアルも堪能。
初登場のアメリカチャベス。マルチバースを翔ける孤独な少女。
彼女の星形で空間が割れるような白く眩しいポータルがカッコかわいい。トンデモ世界一周最高だった。
特に絵的にうっとりしたのは、闇堕ちストレンジに会いにいく時。
水面と階段、赤い月。すげー綺麗。
唐突な音符攻撃なんて仰天な魔法バトル。対抗魔法で五線譜で引いた所で流石に笑ったわ。

マルチバースの危機に、ワンダに会いに行くストレンジ先生。
”ワンダ・ヴィジョン”騒動の件で来たの?とワンダに問われたが、知ってて何もしなかった気まずさの苦笑い。
続けて「なんで私に?」問われ、
「モヒカンの弓手か、虫の能力がうりの連中か、指折りの魔術使いかで選んだ」って、現アベンジャーズへの言い様酷くて笑う。
ストレンジ先生、アベンジャーズに友達いなそうだしね。
しかも唯一頼ってくれたピーターもあんなことになっちゃって・・・。

そしてたどり着いた別バース。あの人もこの人も集結している世界線。
あと最近、別バースであっさり殺されがちなサノスさんの扱いも芸風になってきたね。
てかプロフェッサー、なんでマカヴォイじゃないのん。
スマン破壊光線はちょっと笑った。

全体的に大満足の展開だったけど、ストーリー自体は、結局また内輪のゴタゴタ話だった。
ウルトロン、シビル・ウォー系の話運びだ。
まだサノスに次ぐ凶悪ヴィランがみえてこないから、まだ種まき時期なんだろう。
Phase4が前に推進している感じがあまりしない。

そして一言いっておきたい。
マルチバースだからって何やってもいいと思うなよ。
愛着あったキャラが使い捨てされるとちょっと気分悪いんだが。
プロフェッサーも良い見せ場なしで首折られて退場って。キャプテンカーターも真っ二つとか使い捨て感ひどい。
インヒューマンズも、ついに本家合流のお祝いかと思えば、口閉じられて自爆って扱い酷い。じゃなに彼は咳・くしゃみマナーで口押さえたら死ぬの?
ま、マルチバースだから主役級がバンバン死んでもOKなのよん♪とか言われると、今後キャラの死の意味とか無くなっちゃうよ。

MCUに限らないが、マルチバース設定が流行りだして危うさを感じる。
今回退場した人や、可哀想な運命を辿った人達に救いを与える風潮はドラマチックだけど、恒例にしてほしくない。
別バースの同じキャラとして復活とかさせたら、それはそれでもう何でもありになる。
何でもありって事は、どうでもいいって事よ。ノー・ウェイ・ホームだけが特例的に大成功だったとはいえ、一つ一つの作品の結末がどうでも良くなっちゃうマルチバース使いは禁止してほしいな。