春

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスの春のレビュー・感想・評価

3.5
グロめのホラー調ヒーロー映画っていう試みはちゃんと上手くいって新境地的なところにいっているとは思う。ヒーロー映画としては間違いなく唯一無二。

ただ、途中まじで許せないところが一箇所だけあったので下の方にがっつりネタバレありで書きます。
これは許せないんで。



てことで劇場で見逃してたMCU新作、ちゃんとワンダヴィジョンは履修していたから面白さのボリュームが多い。しかしこうもドラマが本編(映画)に絡んでくると追うのが大変になるから正直やめてほしい。ワンダヴィジョンはめちゃくちゃ面白かったけど。

まあなんといってもこの映画の特徴はマルチバースの本格化とグロさとホラー的表現。はっきりと人死にを映していたのは(誰がコロしたのかも含めて)びっくりしたというかギョッとしたし、そこにもしっかり物語的な役割があったと思う。侍ミらしさ全開のホラーテンションシーンは面白かったし、MCUでこれが出来るのはストレンジだけだろうなって感じがする。フェーズ4にきてしっかり新しいものを作れるのは偉い。
終盤にストレンジがゾンビ化して戦うという破茶滅茶な見せ場があるけど、しっかり物語的な整合性と説得力があるっていうのも良いところ。
マルチバース的には割と何でもありになりすぎて不安になるところはあるけど、ちゃんと纏めはしたなって思う。お約束的なトリップ描写も面白かった。




以下ネタバレ有り。許せなかったところの話です。

(前提として、当方X-MENのファン。ローガンはもちろんチャールズとか他のミュータント達も大事なキャラ。)



一言で言えばイルミナティの扱い、就中チャールズの扱いが許せない。

イルミナティが出てきた瞬間に不安になったんだ
、デッドプール2のXフォースとかザスーサイドスクワッドの囮チームみたいなニセモノ感かませ感すぐ死ぬ感。そこにパトリック・スチュワート演じるあのチャールズが出てきてからはその不安が加速、チャールズをコロしたら許さんと脳内で唱えながら観てたけど不安的中見事かませになるイルミナティ達。

何がダメってね、マルチバースならどれだけキャラクターを雑に扱っても良いと思ってるところなんだよ。
確かにチャールズが出てきてくれたこと自体は嬉しいし、ブラックボルト死亡シーンとかちょっとワクワクしちゃったけど、ラインを超えてる。
チャールズとか別の俳優が演じてたらまだ許してたけど、パトリック・スチュワートが演じてたらもうあのチャールズなんだよ、ブラックボルトだってドラマ版と同じ俳優でしょ。
僕がチャールズを好きなようにブラックボルトも誰かにとっては大事なキャラクターなのに、あんな雑な扱い方をしてしまうのかと辟易した。アンソン・マウントさんのブラックボルトが好きな人は彼が無惨にテキトーに殺されるところを見てどう思うの?
「違う宇宙なんだから違うキャラクター」、理屈としてはそうだけど、じゃあもしクリス・エヴァンスが演じる別宇宙キャップとかをこう残酷に殺したりしていいかって言ったらそんなはずないわけよ、やってることは同じなのに。つまりキャラクターを格付けしているっていうこと。チャールズは僕みたいなファンが多いからある程度気を遣っているのが感じられたけど、ブラックボルトをああもグロテスクに殺したのはファンが少ないからでしょ?やり口が汚い。

ペギー・カーターを出したのも割と複雑。エンドゲームの最高のラストはペギーカーターで飾られてたわけだし、そんなキャラクターをこうもかませにして殺されると楽しくは観れない。「I can do this all day」とかそんな軽々しく使って良いセリフじゃないよ。ファンサとかマルチバースの面白さの表現的に入れたんだろうけどほんとやめてほしい。
他のヒーローはよく知らんけど。
別宇宙のヒーローをテキトーに使い捨てるこれがマルチバースだってんなら失望だけど、他の作品はこうはならないでしょうね。ならないよね。




良いところは凄く良いし面白いんだけど、チャールズをコロしたのがまじで許せねぇから複雑なキブン。
これがなかったらもっとスコア高くしてあげたいのに。
春