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火口のふたりのgenのレビュー・感想・評価

火口のふたり(2019年製作の映画)
3.8

ただの官能映画ならキネ旬でトップの評価はされないはず。様々な声があるが、いろんな意味で衝撃的というか、この領域まで映画で創れることに驚き嬉しくなった。


性描写は生々しく、時に引いた目で見そうにもなってしまうが、実は凄く人間的で欲に素直で性とはこうだと言わんばかりの過激なシーンのオンパレード。

セックスして飯食って寝て、セックスして飯食って寝る。シンプルだけど、余計なしがらみや世間体なんて気にしない子供のような青年を柄本佑が熱演。
彼が話すテンポ感やマイナスイオンのような空気感が好き。


人って普段は性欲、食欲、睡眠欲、他にも物欲だったり、なんかスリルを求めたくなったり、怠けたくなったり、欲なんて求めたらきりがない。だから人は欲望を抑制し、やりたくない事をやることが美徳とされる傾向がある。(日本は特に多い)
しかし柄本佑演じる主人公は、欲望のままに寝たい時に寝て、食べたい時に食べ、セックスしたい時に場所を問わずにセックスする。
いつ死ぬかわかんないんだから、未来の事を考えて悲観したり悩んだりするのは意味がない。震災の被害者ぶる事はできるけど、沢山の物を失った被害者、当事者にはなれない。無頓着で他人事のように物事捉え一見冷たくも見えるが、逆に言うと物凄く本質を捉えていて、他人や天災をコントロールすることはできない事をわかっている。

好き嫌い分かれるだろうし考えさせられるけど皆んなが良いって言う作品よりも魅力を感じてしまうのは僕が天邪鬼だからだろうか。

人間の腹の奥底にある欲望を鋭く官能的に描ききった作品でした。
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