ビミョーな評判を聞いていたからほとんど期待せずに鑑賞したら、思っていたよりかは面白く観れる内容だった。
監督が入念に下調べした結果としてAI関連の描写は一般観客には説得力ある仕上がりになっていると思う。
ただし問題なのは肝心の人間の描き方。脚本面に目を向けると、序盤の事件が起こる展開が非常に雑なのだ。
要するに主人公を無理やり逃亡させる展開を生み出す為の下準備がわざとらしい。娘が建物内に家族写真を忘れて、結果的にノゾミ心臓部の室内に閉じ込められる所。
娘を助ける事を優先する親の気持ちが一応の逃亡する行動の説得力にはなっているが、要するにその状況を生み出す為のコマとして娘のキャラを使っているように映ってしまう。
それにしてもまるで無実の普通の人間がいきなり警察のSWATに取り囲まれた状態から逃げようとするものなのかな?
その伏線としてランニングが日課になってる描写入れたわけ?
そうゆう部分がどうしても安易に感じてしまうのだ。
それと後半の伏線回収をご丁寧にわざわざ回想場面でなぞる編集も最近よくありガチなんだが、これはいい加減止めた方がいい。
そこまでされると何かバカにされてる印象に感じてしまう。
あとは邦画大作ならではの、俳優さんたちの演技がいちいちオーバーで嘘くさい点かな。
これは俳優さんたちの力量よりも演出の問題なんだろうが、こうゆうクサイ芝居の積み重ねが逐一ボディブローのように効いてきて全体の完成度にまで影響を及ぼす事になってしまう。
今や珍しい、漫画や小説が原作になっていないオリジナル脚本による邦画大作は応援したい気持ちは強いが、細部こそ大事と思ってもう少し再考して作って欲しかったです。