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野性の呼び声のmatchypotterのレビュー・感想・評価

野性の呼び声(2020年製作の映画)
3.6
とある犬の壮大な冒険の物語。

名犬、バック。
この犬、フルCGなのか、な。
スゴい豊かな表情。
賢い犬、バック。言葉は話せなくても完全に人間の意図を理解し、コミュニケーションが取れてる。

そんな犬が飼い犬から拉致されて北に売り飛ばされるところから話が始まる。

北は黄金発掘に明け暮れる時代。
パワフルなバックは北で犬ぞりなどの労働力として買われてしまう。
そこから彼の壮大な人生が幕を開ける。

買い手にも色々いる。
暴力的に無理矢理従わせる人間もいれば、愛を持って信頼しつつ言葉をかけて一緒に働く人間もいれば、主従関係を超えた対等に付き合う人間もいる。

そんな人間たちの都合と、拠り所となりながら点々としつつ、彼が触れたことのないモノや世界を体験し、導かれていく。

この要所要所に出てくる象徴的な“黒い大きい狼”。カッコいい。何かするわけでもなく、具体的に何かを示すわけでもなく、ちょいちょい出てきてバックに“何か”を奮い立たせる。

そのまさに“呼び声”に導かれるように、バックは1つの帰結に向かう。

ハリソンフォード、完全におじいさんになってしまったが、色んな悔恨にまみれたおじいさん。深みがあるおじいさん。

ある意味、バックとこのおじいさんだからこそ、人間同士では解決しない進展しないお互いの人生を埋め合うような関係性が良い。

その前に出てきた犬ソリで手紙配布の件もなかなか良い。人間と犬とのかけがえのないコミュニケーションと、犬同士の摩擦の中にバックの真の姿をバック自ら感じ取っていく。

あの雪崩のシーンは圧巻。

犬が主人公なだけに、双方向の会話はない。
犬なので、どこまでいっても言葉では理解し合えない。
なのに、そこには“何か”が確実にあり、バックも、そして、バックと関わる人間にも、“何か”を感じられる。

時に優しく雄大で、時に厳しく辛い自然の世界の中で、導かれるまま進む名犬、バック。

波瀾万丈な旅の先に見た彼の運命、そこにあり。
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