ももいろりんご

クーリエ:最高機密の運び屋のももいろりんごのレビュー・感想・評価

3.7
同じMI6でも今回はコチラ。良作!
カンバーバッチのお尻が痩せてて泣けた😢
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 =STORY=
1960年代始め、アメリカとソ連の対立は今や頂点に達しようとしていた。宇宙開発、兵器開発、その裏でいかに相手を知るか…双方のスパイが暗躍し情報戦が展開。ソ連の情報を求めて、米英の諜報機関であるCIAとMI6はイギリス人の平凡なセールスマンにモスクワで商売をさせ、極秘情報を運ばせる計画を立てる。その“運び屋(クーリエ)”に起用されたのは、グレヴィル・ウィンだった。
グレヴィルは、国を憂うるGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)高官オレグ・ペンコフスキー(アレックス)と接触。ソ連とイギリスを往復し、その度にアレックスが調べた機密を持ち帰ることに。常に監視され制限された世界で、2人は、国や政治を超えた友情と信頼を互いに持つようになる。
1962年10月、「キューバ危機」が勃発。2人が運んだ情報は、戦争を回避するのに役立ったが、彼らには過酷な運命が待ち受けていた…。
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これは実話に基づいたお話。
普通のセールスマンのグレヴィルが、その密命を受けると物語は一気に緊張し、私は息を止めてしまう😅。緊張でイラつき家族に当たってしまったり、妻に浮気を疑われ、家庭が壊れていく辛い立場に立たされるグレヴィル(もともと浮気前科一犯)。損な役回りです。
情報提供者のアレックスとは信頼関係で結ばれ、お互いを助けるための熱き友情にホロリとさせられます。韓国映画の「工作 黒金星と呼ばれた男」に似た設定だけど、グレヴィルは素人。だから、また余計に優しい。
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キューバ危機は、第三次世界大戦勃発に最も近づいたとされる出来事。ソ連がアメリカに近いキューバに核ミサイルを配備したことが発覚。二国が核のボタンに手をかけ、威嚇し合う危機的状況でした。具体的に2人のどの情報がどう効いたのか、本当のところはわからない。
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CIAとMI6が率先して一般人を巻き込むなんて、ほんと、許せないな…。グレヴィルの心を動かしたのはなんだったんだろう。(やっぱり脅しかな。スパイになりませんか言われたら、普通、絶対に引き受けないぞ!)そしてフルシチョフに核を持たせるのが怖いと覚悟を持って行動するアレックスは、CIAとMI6にとってはただの情報源に過ぎず…アレックスとグレヴィルの繋がりは、奇跡というには大袈裟だけど、その縁には奇なものを感じます。
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カンバーバッチが、微妙な立ち位置の普通のセールスマンなのに、誇りを失わず、自分を通し続ける男を見事に演じていました。
銃や格闘シーンもないし、スパイものというよりは、国家に翻弄され、育まれた男同士の友情と苦悩の物語。
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おまけ
アレックスとグレヴィルが「白鳥の湖」のバレエの舞台を観に行くシーンがあって、初心者むけ振り付けとはいえ、踊ったことのある私。「トゥで踏み踏みも、両手の羽ような上げ下げも大変なんだよー」と余計なことを思いつつ、2人の表情に、目頭を抑えました。