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マッスル 踊る稲妻のtheocatsのネタバレレビュー・内容・結末

マッスル 踊る稲妻(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレ
えげつない復讐劇もエンタメとして見事昇華

醜い背むし男の花嫁強奪から始まるヒンディーミュージカル。
それが3時間かけた超長尺により爽快なエンディングへと見事に昇華されたと私は感じた。

時間軸をかなり錯綜させているので「背むし男は一体なんなの?」という疑問を抱きつつも中国ロケのPV的ミュージカルシーンに目と心を奪われて、そこからグッと劇中へ引き込まれてしまった。
ワイド&ダイナミックな撮り方と編集は日本人監督が最も苦手とする分野と思うが、あれほど魅せてくれれば文句なんてなく、いい年こいた爺でも夢見心地になってしまったよ。いや本当に・・・

一躍トップスターになった主役ボディビルダーとヒロインの恋の紆余曲折も大胆かつ無理なく進展させ、そこから〝悪の結託同盟”によるえげつない策略の流れは、デフォルメを利かせているとはいえ度が過ぎた極悪非道の仕打ち。

その後の主役の目を覆う惨状により、それ以前に不明だった場面の全てが明らかになるという構成。

「目には目を」の復讐劇もこれまたデフォルメし過ぎでえげつないけれど、もはやギャグの領域に突入してしまい、主役同様醜い奇形と化した〝悪の同盟たち”の痛ましさをこちらに感じさせない描き方となっていたのは、やはり計算づくだったのだろうとしか思えない。じゃなきゃ以後のストーリーが全然楽しめないものね。

そしてエンタメ的ファンタジーのエンディングは美しいヒロインのハートウォームかつ勇気ある決断。それにより醜い主役男子は精神的にも肉体的にも救われ、同時に視聴者もハートフルカタルシスとでも呼べる不思議な感覚に捕われることになる。

久々にオール5の五つ星 お見事でした。

ちょっとせわしなくはなるが1.5倍速サクサク視聴で問題感じず。
012101
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