垂直落下式サミング

アスの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
4.0
ドッペルゲンガーもの。自分と似たり寄ったりの人間なのに、そいつが自分よりいい暮らしをしているのを知ったら、やっぱ気にくわないのが人情でしょう。
「幸せだからって見せびらかしてると、それをみてた不幸せな人が刺しにきますよ。」この蛭子能収大先生の言葉は、この世に欺瞞をゆるさない。金言だと思います。ほんとに、座右の銘にしたい。
そんな酷いこと考えてる人いないって言う人は、自分が不幸せになったことがないから、わかんないんだよ。おたくらは、たったひとり暗いお部屋でテレビに向かって八時間恨み節吐き続けて、眼球が裏っかえるくらいの偏頭痛こおしたことないでしょ?よかったね、幸せで。
分断が可視化されてしまったアメリカ。アイツらは何者だったのか?境遇や運の巡り合わせで不幸せになってしまう貧民と、既得権益にぶら下がれる余裕のある奴らとの差は広がるばかり。そんなら、おっしゃ!イッパツ逆転狙って刺しにいくか!共感できちゃうんだよな。現実では逆転なんかできやしないって、わかってんだけどね。
黒人の人たちがすごく綺麗だ。ジョーダン・ピールの作品では、黒人の肌色が映える。メイクが違うのかな、照明が違うのかな?たぶん主役の黒人俳優に合わせた撮影をしているんだと思う。
日本映画が黄色人種の肌色にあわせた色合いで画面が構成されているのと同じで、ハリウッド映画は照明のあてかたから小物の配置まで、白人の肌色にあわせた画面構築をする。
本作は明暗を強調した色合いに重点をおいていて、美白ならぬ美黒を引き立てていた。最近では、マジョリティ側をベーシックとする考え方も変わってきたのかもしれないけれども、大きな進歩なのではないかと思う。
日本人俳優がハリウッド進出したとき、日本で主役やってたときは、あんなに格好よかったり綺麗だったりする人たちが、なんか粉っぽくみえるのも解消されたらいいな。