ユウ

アスのユウのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
3.2
序盤のシーンで、幼い頃に誰もが抱くであろう得体の知れない心細さを、丁寧に描写しその共感をホラーの入り口として巧みに落とし込んだ本作。
少し見始めると夢中になってしまう映画だ。

だが、全体的な出来で言うと今ひとつ。
と言うのも伏線を露骨に張りすぎである。
シナリオを書くライター側の心構えとして、「伏線どころか布石というくらい露骨にしろ。(でないと伏線として認識されない)」と言われるが、本作の伏線は視聴者にとっても布石と感じられるほど露骨。

怖さの方向性としては不気味な犯罪集団への恐怖である。
もう少し詳細を言えば目的不明のドッペルゲンガー「影」の一家が一斉にそれぞれの家宅に押し寄せるというかなりの力業ホラー。
意外とこういった作品は少ないのではないだろうか。

「影」達は元の人間より強い生命力を持ち、原型がとどめられている程度の外傷なら活動を再開できる。
しかし、元の人間の行動に同調するらしく、それを利用されて斃されるシーンもある。

最後の最後にどんでん返しがあるのだが、先述の通り伏線を張りすぎで全くビックリしない。
そして、全体のネタばらしがあるストーリーにも関わらず、説明不足な箇所を多々残す。
怪異系のホラーは謎を残す方がいいが、本作は超自然型の追跡者ではないので、結果的に単なる説明不足という印象しか残らない。

3.2という評価をつけたが、もしも万が一続編が作られたら観てみたい、そんな映画。
ユウ

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