カワウソのアイサツ

アスのカワウソのアイサツのネタバレレビュー・内容・結末

アス(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

人体牧場なんて、そりゃ神様もおこぷんぷんで人類を成敗してみようかとなさるでしょう。

クローンと人間が同期する不思議。
クローンと人間を造れば、本来なら魂はひとつ。
でもちょっとした手違いで、魂(知性)を持ったクローンが生まれてしまったことから始まる悲劇。
アダムとイブがリンゴを食べて楽園追放されたように、陽光降り注ぐ楽園の存在に気づいたクローンは我が身の不幸をそりゃあね呪いますわ。

幸せは誰かの不幸の上にしか成立しない。
酷い話だけど、それが現実。
私には赤い集団が哀れに思えて仕方なかった。
魂が無いから、REDの指示通り手を繋いだままで身動きひとつしない。
繋がれた手によって出来上がった長く赤い線は、朽ちて死ぬまでその場に立ち続けるのだろう。
『パージ』などで語られる極端な格差社会を究極に突き詰めて残酷に提示したのが本作だろう。

なんだかね、観終わったらね、どんよりと哀しい気持ちになりました。
オシャレで小気味いいサクサクした映画なのにね。