「ゲットアウト」のときから思ってたのだが、この監督は社会に巣くう問題を告発するためにホラーという方法を使っているのではなくむしろ逆で、その問題を使って自分のホラーに満ちた世界を表現したい人で、この作品の終盤においてもネタバラシというよりはさらに世界観を掘り下げて、観客を置いてけぼりにすることも厭わないその姿勢は、園子温そのものだった――「自殺サークル」あるいは「リアル鬼ごっこ」。だから僕の場合メッセージよりも起こっていることの怖ろしさや驚きで彼の作品を評価してしまうのだが、単純な怖さなら前作には劣るという印象だった。ルピタニョンゴの声の出し方と、最後のI got 5 on itのアレンジのなかの舞踏は良かったが。
