よーすけカサブランカスさんの映画レビュー・感想・評価

よーすけカサブランカス

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淵に立つ(2016年製作の映画)

3.9

プロテスタントという要素がそれっぽく配置されるので、出所してきた浅野忠信を裁きを与えに来た者と解釈することはできなくもない、と思ってたら夫の方が先にそう言及した。妻からの反論もあったように、この作品を>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.6

IMAXで。とりあえず、IMAXでの上映で体験出来てよかった。家で配信されるのを見るのとでは全く違う体験、解釈すら変わってくるだろう。としか言いようがない。
アクションの場面ではとにかく物量と音圧、そ
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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

3.8

エディがスター男優となる70年代の描写があまりにセックス&ドラッグすぎて、これが古き良きアメリカ……と胸焼けを起こしそうになる(でも楽しい)。すべてが楽しかった時代の終わりを予感させる助監督の発砲のシ>>続きを読む

ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

3.5

環境保護のための過激な方法としてのテロ計画から実行、後悔までを描いているがその思想の内実やらその環境汚染がどれくらい深刻なのかは一切描かれない。あるのは彼ら二人の若さゆえの正義感と後先考えなさ。
同情
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モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

3.9

911以降の米軍による強化尋問のやばさを描く作品は何個か思い当たるがこれが一番残虐に描いていたのではないか。女性によるレイプは初めて見た。よく生活に戻れたなと思う。
ジョディ・フォスター目当てで見たが
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ファーザー(2020年製作の映画)

3.6

認知症による記憶の混濁をメメントのようなスリラーの方式で表現しようとしたアイディアには感心した。
事態が何一つ好転しないまま終わったのも良い。最後アンソニーが混乱のあまり幼児退行してしまう場面は胸が痛
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.6

芸事における師弟関係がいかに難しいか、特にこのSNSの時代においては、という話である。正解に近づく術をを口で教えられるわけではないし、感性の世界なので居た時間の多寡に関係なく、若い才能に目が移ることも>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.7

大人の身体に入れられてしまったばっかりに、その子は大人の(男の)嫌な面を急速に学んでゆく。確かに見ていくと男の哀れさが際立ってきて、フェミニズム的な文脈を見て取れるしそういう話ではあるんだろうと思う。>>続きを読む

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

4.0

何とも恐ろしい話しだと思う。デュポン社は隠蔽だけでなく人体実験や放火まで、完全にやってることはマフィアで、駐車場で人影の幻覚を見たりキーを回したら爆発しないか恐れるのも頷ける。そりゃ手も震える。
しか
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.9

最初のモーテルの家具を全部シーツでくるみ始めるところで只事じゃない映画だ、と感じる。極度の潔癖、ということだろうが、カウンティングを使ってカジノで大勝ちせず目立たず、社会とは関わらず、怒りを押し殺しな>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

4.0

久々に。「死を怖がりすぎると死にたくなっちゃうんだ」と、この作品に流れているテーマは結構分かりやすく提示される。北野武にしか分からない世界観である。凄まじい。
ロケット花火に混じって実弾を発砲してくる
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終わらない週末(2023年製作の映画)

3.9

シャマランぽいという評を結構見たが、確かに何かが起こっているという予感が長く続く嫌な映画というのは共通しているものの、こっちは終末の予感を前にどう行動してしまうのか、という方に重きを置いていた。
金を
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.9

最後スコセッシ本人まで出てきてエンタメとしてあの事件が伝えられる場面で分かるように、どこまで行ってもこの作品はエンタメなんだ、と自覚的ではあるんだけど、とはいえここまでマフィア映画的な演出が必要だった>>続きを読む

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

4.1

題材こそ刺激的だが、抑圧された男女の逃避行というのはベタな話ではある。二人が親と決別した理由も、カニバリスムが関わっているとはいえ、普通の人間にもあてはまるようにもなっている(親の方から子を突き放す、>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.8

歌手としてのジャネールモネイは知っていたがこんなに存在感があるとは。俳優陣の中で一際目を引くビジュアル。
キーパーソンとの関係を途中まで伏せる、探偵までこちらを騙す手法はなかなか唸った。双子トリックの
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

最初のモノローグが嫌に長いな、とやきもきしてたら、どうもその人間臭さがこの作品のテーマだと分かってくる。まあフィンチャーがストレートな殺し屋お仕事映画や復讐劇を撮るわけがないし求めていない。
殺し屋の
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.3

滅茶苦茶分かりやすくベトナム戦争だが、悲しいことに今やる意味合いが強くなってしまった。米軍を徹底的に残酷に描いているのも、ニューアジアのロボットを含めた生活をちゃんと描いているのもとても良い。欲を言え>>続きを読む

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-02 震える幽霊(2012年製作の映画)

3.5

若者たちの肝試し映像、というかなりオーソドックスな始まりだが、若者たちの人間関係から謎が発展していくのはやや意外だった。色恋沙汰かよ、からの???
全く謎は解明されないまま工藤は入院中で話は終わる。ま
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父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

3.7

硫黄島での戦闘と、英雄としてアメリカ各地を行脚する場面が交互に語られる。戦争の過酷さ、そのPTSDの辛さを見せる作品は多いが、これはかなり独特の語り口。実話だが、銃弾を買う金もなくなってきたので戦時国>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.2

180分という長さに必然性がある映画はなかなか久しぶりだったような気がする。紐解いていけば演劇と自分の人生が喪失という点で重なってしまうという展開でそれ自体は何も真新しいことはないが、その主軸以外のと>>続きを読む

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版(1995年製作の映画)

4.3

4Kで見れる環境になったので久々に。余計なものが一切なく、かと言って詰め込まれた感じでもなくちゃんと余白も見せる、ソリッド極まりない作品。記憶まで操作が可能となったとき人を人たらしめるのは何か。ネット>>続きを読む

ゾディアック(2006年製作の映画)

3.7

久々に見たら印象が変わった。フィンチャー印なのでスリラー的なものを期待しがちになるが、問題は何かを追い求めることの狂気である。見てると警察の横の連携の雑さ、杜撰さが目立つが、殺人事件は他にもあり彼らに>>続きを読む

イノセンス(2004年製作の映画)

4.6

久々に観たらバチバチにハマった。
セクサロイドによる殺人がシンギュラリティ云々の話にならなかったのは意外ではあったが、日本における人形の歴史から人の似姿を作ることに考えを巡らせた唯一無二のSFになって
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ソルジャーブルー(1970年製作の映画)

3.5

前半は結構牧歌的に進む。シャイアン族の襲撃を生き残った男女。男勝りな女と青い男というありがちな構図。途中の敵が金のためなら先住民にも銃を売る商人、というのがやや意外性を感じた。
最後の襲撃場面の鬼畜さ
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最後の追跡(2016年製作の映画)

4.7

監督よりも脚本の名が知れ渡ることとなった名作。
テイラー・シェリダンはこのデビュー作からすでにアメリカの諸問題は土地の所有が根幹だと喝破している。先住民、開拓そして略奪、テキサスの貧困地域、返せないロ
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.9

後から他の人の評で、女性から男性の身体への侵入(逆転したセックス)、行き過ぎた健康至上主義、などの主題を感じ取ることができたが、にしてもクローネンバーグ、どういう頭してるんだ、異質すぎる……。
個人的
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レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙/刑事グラハム 凍りついた欲望(1986年製作の映画)

4.0

サイコパスを追う捜査官がサイコパスへ変わってしまう、むしろそうでなければ捕まえられない、というのは「羊」や「マインドハンター」といった傑作よりも随分前にここでしつこく描かれている。犯人を想像して語りか>>続きを読む

L.A.大捜査線/狼たちの街(1985年製作の映画)

3.6

一応は刑事もの、バディものではあるが無茶苦茶である。バンジーに成功して称えられる序盤があるから、無鉄砲がテーマなのは分かるのだが、にしても、である。敵との商談を進めるために強盗をしちゃうところなんかも>>続きを読む

スネーク・アイズ(1998年製作の映画)

3.8

やっぱり冒頭の長回しは異常。なのだがその派手さやエキストラを制御する手際とか、そういう凄さよりも、冒頭でやることで全編の舞台となるボクシング試合会場の空間とキャラクターを把握させやすくしたということを>>続きを読む

コズモポリス(2012年製作の映画)

3.6

クローネンバーグを語る際この作品はあまり語られない印象があるが無理もない。ただ主人公の矛盾した性格、自己破壊衝動があることに気づくとボディホラー、体の損壊を撮ってきた巨匠がこのドン・デリーロの曲者めい>>続きを読む

ジャッキー・コーガン(2012年製作の映画)

4.0

オバマ就任を冷ややかに見つめながら終わるこの作品。トランプを経たいま見るとなお面白い。誰が大統領になろうと経済格差による分断は決して解消されないというのがここでの主張。トランプはその分断をさらに押し広>>続きを読む

L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)

4.3

久々に見た。やはり面白い。
暴力と性の匂いの沸き立つ極地LA。その匂いに警官ですら清廉潔白でなどいられるはずがない。そんなLAに完全に染まりきってない眼鏡君と行き過ぎた正義の暴力警官が最後にバティを組
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.8

序盤の国防省?のシークエンスが不穏なリズムでクリストファーマッカリーぽさが微妙に出ていて興奮した。
あとはもうドタバタ。カーチェイスが体感で30分ぐらいあった気がするのだがさすがに長すぎると思う。退屈
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エンゼル・ハート(1987年製作の映画)

3.7

U-NEXTで見放題だが字幕が変なのでおすすめしない。

ミッキー・ロークのくたびれながらも色っぽい雰囲気よ。決して関わってはいけない男っぽい。
若干黒人やブラックコミュニティへの偏見を助長しそうで危
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特捜部Q Pからのメッセージ(2016年製作の映画)

3.6

監督は「怒りの除雪車」のハンス・ペテル・モランド。おじさん×おじさんのバディ、しかも主人公は常に眉間に皺を寄せてて暗い、というなかなか挑戦的な構造(さすが北欧ミステリー)。
全体的にいい緊張感と子供に
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.7

手話以外での発話も難しい彼女の心情の動きを会話を使わず表現してるのはまあすごいと思う。最後も悔しい表情だけ見せてあとどうなったかは明示しない。一応ボクシングそのものを対話としているんだろう。三浦友和演>>続きを読む

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