垂直落下式サミング

ONE PIECE STAMPEDEの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ONE PIECE STAMPEDE(2019年製作の映画)
3.5
バレットというチートが出てくる作品。
ダグラス・バレットは、往年のロジャー海賊団クルーという経歴をもつ、インペルダウンに収監されていた実力者。当然ながら覇気の熟練度もすさまじくて、覇王色もある。なかでもヤバイのは、ガシャガシャの実の合体人間という能力で、覚醒技では島ひとつの地形を変えるくらいのパワーをみせていた。コイツ、なんでウソップの搦め手ごときで負けたの?
ガシャガシャの実は、「鉄屑や瓦礫から武器を産み出したり、自分と合体させてロボットになることかできる能力」らしい。
バレット氏は、後者の自分自身を強化する目的で合体能力を主に使っていて、個人の武力でもって最強を目指していたけれど、冷静に考えて前者の能力のほうがヤバイんだよな。
一匹狼海賊のバレットだったから、島ひとつの地形を変える程度(それでも十二分に凶悪だけど)で済んでいたけれど、この能力がヤバイのはそこじゃない。真価が発揮されるのは、個人戦じゃなくてチーム戦だ。
武器でも、要塞でも、戦艦でも、ありとあらゆる兵器を何でも作り出せる能力ってことは、仲間がいればいるほど凶悪さが増すハズなのに…。自軍に無限に武器供給できる能力の持ち主が、他人の下にはつけない男ってのが皮肉なものだなぁ、と。
大所帯の海賊団の幹部に一人いるだけで、世界に手が届く。最強レベルのバフ要因っすからね。カイドウさんが欲しがりそうなこって。
ストーリーについては、尾田先生総監修のフィルムシリーズではないからか、あまり面白くない。いろんな勢力に属しているワンピースオールスターが一挙に登場ってのが見物との触れ込みだったけど、それはもう大監獄と頂上戦争でやったし、これから物語が幕締めに向かうのだから、劇場版でも原作でもある程度は既存の人気キャラは出してくるはず。何度も何度もは胸焼けする。
ファンサってなら、まあいいけど、これじゃあどうしたってファンサの域は出てない。最近のMCUとおんなじで、あんまりムリクリなはなしされると好きな人ほど冷めますよ。
とりあえず、銭形枠のスモヤン&たしぎコンビが出てきてくれて嬉しい。2年後のイメチェンが一番オシャレな人たちだと思う。軍人ツーブロックは違和感なかったし、男所帯の海軍軍艦のなかで女だてらにがんばる黒髪メガネお姉さん結び将校ちゃんは性癖をくすぐる。
それにしても、かませ犬役が板についてきてかわいそうなスモーカー大佐。女の子のアイス食うズボンはいてたころが全盛期だったなんて散々な言い草だけれど、ホントに地味で弱くて将来性もあんまないっていう不遇の初期ライバルになりつつある。大嫌いな海賊のコスプレなんてしたくないだろうに…。
政府側だったやつらの裏切り行為のせいで、毎回やられてるから不憫。ハンコックにいじめられて、ローにいじめられて、ヴェルゴにいじめられて、ドフラミンゴにいじめられて…。そりゃあ、海賊のこと嫌いにもなるよ。お前さん、ホントは共闘なんかしたくないだろ。
東の海では最強の自然系能力者だったのに、覇気っていう概念が出てきてしまったせいで、ただ単に的がでかくなるザコザコの実の勝ち星気配り人間と化してしまった。能力にかまけたロギアの寿命は短い。ガオ!