新宿の街中や映画館で、たまに出会す虎のお面を被った派手な格好をしたおじさん「新宿タイガー」に密着したドキュメンタリー。
タイガーさんと同じく、新宿の映画館を転々と散策することが多い身には、このドキュメンタリーは必見だろうということで、観てみることに。しかし、これが予想外に興味深い作品だった!
映画はタイガーさんの人となりに迫っていくのだけれども、次第にタイガーさんが生きる「新宿」の1960年代以降の昭和史。さらには、東京の文化史の一端へと繋がっていく。
そこに映し出されるのはタイガーさんだけでなく、昭和から平成を経て令和へと向かう今日において、忘れ去られようとしている世界に生きる人々の姿だ。
地味ながらも、東京の片隅で生きる人々の日常の一端を捉えた味わい深い1本。快楽的な面白さには欠くけれども、個人的にはオススメしたい。