おかあさんの被爆ピアノの作品情報・感想・評価

上映館(21館)

おかあさんの被爆ピアノ2020年製作の映画)

上映日:2020年08月08日

製作国:

上映時間:113分

「おかあさんの被爆ピアノ」に投稿された感想・評価

min

minの感想・評価

3.5
新宿のKs’cinemaで観ました。
何の予備知識もないまま観たゆえ、エンドロールで「矢川ピアノって実在なの?」と驚きましたし、被爆ピアノでコンサートを行われていることもはじめて知りました。
私を出産した時の母の母子手帳が広島赤十字(私の母は終戦の1年後の生まれ)なので興味を持って観ましたが、なかなか終われない市井に深く刻まれた戦争と、全般的に遠くなった戦争とのギャップに感じるやるせなさ…でもこういった地道な活動がなされていることが一筋の光で、遠くなった戦争に想いを馳せる契機となりました。

それにしても、久しぶりに宮川一朗太を見たなぁ!
母が祖母の被爆ピアノを寄贈したことを知ったことから始まるヒロインで大学生の江口菜々子のルーツ探しの旅は、彼女と共に旅をする我々に広島の原爆のこと、被爆二世のこと、そして当たり前のように享受している平和について考えさせてくれる。
モチーフとなっている「被爆ピアノ」とは、爆心地から3キロ以内で被爆しながら奇跡的に焼け残ったピアノを指す。
本作は被爆二世の調律師として全国に被爆ピアノの音色を届けている矢川光則さんの実話を基にしたオリジナル映画。
この矢川光則さんを佐野史郎さんが、そして矢川さんを頼り、ルーツ探しのアシストをしてもらう菜々子を「AKB48」の武藤十夢さんがピアノの演奏を含めて演じている。
本作ではシューベルトの「アヴェマリア」、ベートーヴェンの「悲愴」をはじめとするクラシックだけでなく童謡に至るまで「被爆ピアノ」で披露されていく。
その音色は今までとは違う感慨を喚起しながら心に響いてくる。
被爆から75年を迎える今、新型コロナウイルスが席巻している最中でもキナ臭さが漂うこの世界、改めて原爆を含めた戦争について考え、ピアノと同様に維持しようと努力しないと損なわれてしまう平和について見詰め直す機会かもしれない。
大上段に、語らない。
被爆二世の母がどれだけ差別的な扱いを受けたとか、反戦反核などの明確なセリフは一切ない。
それを「感じさせる」脚本と演出と演技。
実在の「被爆ピアノ」を管理している調律師の矢川さんをモデルに、ヒロインが被爆した祖母のピアノから何を知り何を感じるか。
リアルな「今」を切り取って、未来に何を伝えたいかが感じられた、いい映画でした。
yuki

yukiの感想・評価

3.9
おかあさんの被爆ピアノ

「もち」で予告が流れたときから気になっていた今作。
用事の合間に時間がぴったり合ったので観てきました。

調律師の矢川さんが被爆ピアノに誰にでも触れさせてくれるのは、原爆投下を生き延びて美しい音色を奏でるピアノの傷も、逞しさも肌で感じてほしいからではないか。
通りすがりの大学生が激しくジャズナンバーを叩きつけるのでハラハラしていたら、そこはきちんと牽制してくれて、本当にピアノを大切にされているのがつたわる。

主人公が孫娘の菜々子さんだから「おばあちゃんの」被爆ピアノじゃないの?との素朴な疑問はクライマックスで解決します。
ベードーヴェンの悲愴第2楽章は、哀切を帯びながらも慰めに満ちた優しいメロディで、
さまざまな痛みを拭ってくれる名曲です。
何年もピアノに触れずに来たおかあさん。
菜々子さんの椅子に少し腰をおろして、凛と弾く姿を見ながら耳を委ねる。涙が止まらない。
ピアノは被爆しながら、おばあちゃんの命を守り、おかあさんたち家族の繋がりを守る。

矢川さんたちの切実な活動が、平和への意志を継承してくれていると感慨に打たれながらエンドロールに連なる夥しい名前を目で追いました。

『おかあさんの被爆ピアノ』という作品を劇場鑑賞してきました。

広島への原爆投下時に、爆心地近くにあったピアノ。
様々の人の思いを載せて、今も弾き続けられています。

僕は仕事柄、修学旅行に同行することが多く、生徒とともに、広島で多くの語り部さんのお話を聞く機会に恵まれました。
そしてこのピアノを管理する矢川光則さん(映画では佐野史郎さんが演じています)にもお会いして、実際に被爆ピアノをお借りした事があり、とても思い入れを持っていた作品です。

これから先の未来もずっと、戦争のない時代に、このピアノが優しい音色を奏で続けてほしいと思います。
Pippo

Pippoの感想・評価

3.2

このレビューはネタバレを含みます

「ヒロシマ」の物語ではなく、僕たちにとってなじみ深い「広島」の物語。

ぶっ飛び過ぎず、随所にリアルさとファンタジックな微笑ましさが程よく入り混じる展開。

お母さんに反抗しながらも、おばあちゃんの家に突然現れた森口瑤子からそっとサンドイッチを差し出されてそのまま食べ始める武藤十夢も。
サービスエリアで超絶技巧を駆使するポセイドン石川が、「いい加減にせんかい」と佐野史郎にたしなめられて素直に謝ってしまうところも。
なんだか好き、と思わされる。

クライマックスの演奏会の展開も、やっぱりどこかリアル。
練習で完成させたように思えた悲愴も、結局は弾ききることはできずお母さんが寄り添いながら弾いてしまうというのはこれはこれでびっくりする。
ピアノは、弦楽器や管楽器と違って「自分の楽器」を持ち歩けないのは本当に口惜しいという楽器なのだよね。練習で手に馴染んだ楽器と違うものを本番で使わないといけない。
そして、お母さんはひそかに悲愴を練習していたんだろうか? でも昔何度も弾いた曲は、歳を取っても意外と指が覚えているという事実も確かにある。

ちょっと脚本が説明調過ぎるところも多いとは感じた。
お母さんが兄の死について語り始めるのも、ちょっと唐突だろうか。物心がついていなかったなりに記憶にある、兄の思い出を1つ2つ語るということがあって欲しかった。

あれから75年。
時にあの夏に思いを馳せることはやっぱり日本人としての責務の一つなのかも知れないけれど、あまりにも凄惨さを強調され過ぎる物語をいくつも受けとめるのにも正直きついものはある。
なので近ごろはこうした「普通の人たちが普通に暮らしていたあの町」の物語が多くなってきているように思えるのは、「この世界の片隅に」の時にも感じたけれど良いことだなと思う。
爆心地から3km以内で被害を受けた「被爆ピアノ」を修理·調律し、自らトラックを運転して運び、全国でその音色を聞かせている矢川氏の存在を初めて知った。
矢川氏役の佐野史郎、お祖母さんとお母さんが暮らした広島を知ろうとする江口菜々子役の武藤十夢の演技が良かった。
8/6の広島で、菜々子がピアノを上手く演奏できなかったほろ苦い結末も、物語を綺麗にまとめてしまうこと無く、より印象に残った。
atlantis

atlantisの感想・評価

3.4
東京で幼児教育を学ぶ女子大生が、祖母の被爆したピアノから、広島、被爆について自分のルーツ探しをしていく物語。戦争、平和について考えさせられる良い映画でしたが、主演のAKBの子の演技がやや不自然な感じがして、残念でした。一方、調律師役の佐野史郎は、さすがの演技。
今日のミニシアター応援鑑賞は新宿Ksシネマさんでこれでした~(^^)vきのう公開です。コロナで間隔を空けて&ミニシアターですけど、ほぼ満席でした~。今日は長崎に原爆を落とされた日ですね。

作品は広島の原爆の方です。被爆のシーンはありませんけど、しっかり被爆のことを考えれるいい作品でした~(^^)vこういう時期に見るのはいいと思います。内容はあまり触れないでおきます。主演はAKB48の武藤十夢ちゃんです。一緒に行った友だちはAKB推しで主演目当てだったはずが、いい作品だったと感動していました(^^)vちなみに自分の1席おいての隣の男性は号泣でした…(ToT)平和の大切さを感じれると思います。
終了後、五島監督と作品にも出てくる朗読家の飯島さんの舞台挨拶があったのですが、もう1つの被爆者差別も見て感じてほしいようでした。丁度、今だとコロナ差別みたいかもしれないと…。
お近くで時間があったら、見てみてくださいって感じです~m(__)m
映画鑑賞前に出演者や監督方のリモート登壇があり、監督の「この映画はいろいろな感想を持っていただいて良いんです…」という様な言葉を先に聞かされたのだが、その押し付けがましくない慈愛に満ちた感覚が、この映画から受けた印象だった。
『戦争のこと、原爆のこと、お祖母ちゃんのこと…何も知らない。』主人公・菜々子は言う。
聞かされなければ、知らないだろう。
聞かせたくなかった母親の気持ちも痛いほどよく分かった。

私自身、原爆の話を聞くたびに思い出すのは、中学の修学旅行にも、高校の修学旅行にも行った広島の平和記念資料館。その為に事前勉強をし、原爆詩集を読んで、学年中の皆で学習もした。
また、自宅では、一度も会った事はない戦死した伯父の話や疎開させられていた母の話も聞いた。そしてお祖母ちゃん子だった私は、子どもの頃から戦争体験を幾度となく聞かされてきた。祖母の言葉が私にも聞こえた。
『B29が家の上空で旋回した時のあの恐ろしさ!』
『…あんな怖い体験はしたことない!
あんなことだけは二度とごめんだ!』
『戦争だけは絶対にしてほしくない‼️』

私は実際に体験はしていない。
しかし体験した人達の言葉を未来に語り続けて行くことは私にも出来るかもしれないとこの作品を観て思った。
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