HAYATO

無垢なる証人のHAYATOのレビュー・感想・評価

無垢なる証人(2019年製作の映画)
4.3
2024年68本目
『私の頭の中の消しゴム』のチョン・ウソン主演作
「第5回ロッテシナリオ公募展」で大賞を獲得したシナリオを、イ・ハン監督が映画化
とある殺人事件の弁護士に指名されたスノは、唯一の目撃者であるジウを証人として出廷させようとするが、彼女は意思の疎通が難しい自閉症であることを知る。
ジウ役を『神と共に』2部作のキム・ヒャンギが演じる他、『82年生まれ、キム・ジヨン』のヨム・ヘラン、『刑務所のルールブック/賢い監房生活』のイ・ギュヒョン、『コンフィデンシャル/共助』のチャン・ヨンナム、『弁護人』のチョン・ウォンジュンなどが出演。
ミステリーでもあり、法廷ドラマでもあり、ヒューマンドラマでもある贅沢な内容。
『神と共に』シリーズで注目を集めた若手・キム・ヒャンギの演技がとにかく素晴らしい。
主人公のスノは、正義感に燃える人権派弁護士として活動していたが、生活を立て直すために仕方なく大手弁護士事務所で働くことに。そこで彼が初めて任された殺人事件の目撃者は、自閉症の少女で、彼女は簡単には心を開いてくれない。
ジウ目線の世界を表現した映像も含まれているので、自閉症の彼女が実際にどのような苦労を抱えているのかその一端を知ることができる。
クイズやパズルなどを用いて、工夫を凝らしながら徐々に徐々に距離を縮めていくスノの姿が丁寧に描かれており、その過程で用件が済むとすぐに電話を切ってしまうジウがとっても可愛らしい。
ジウとの信頼関係が築けたものの、彼女の証言は弁護側にとっては不利なものになってしまうというところが、良心を貫いてばかりではいられない「弁護士」という仕事の大変さや難しさを痛感させられる。
「相手が自分の世界から出られないのなら、あなたがその世界に入って行けばいい」というセリフの通り、目に見えるものだけで人を判断してはならず、たとえ自閉症を抱えていても、それが人よりも劣っているのを示すことにはならないということを学び、心を揺さぶる父親からの手紙に感化されて、忘れかけていた自分の信念のままに行動するスノの姿に感銘を受けた。
伏線を見事に回収して意外な展開を見せるクライマックスは圧巻。
見終わった後の清々しさがたまらない。
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