韓国の裁判モノはどれもレベルが高く期待して鑑賞したが、そのハードルを軽く超えてくる傑作だった。裁判モノとしても素晴らしいのだが、それに加え琴線に触れる親子の物語でもあるという事を忘れてはならない。
監督は『ワンドゥギ』『優しい嘘』を撮ったイ・ハン。主演は韓国のトム・クルーズことチョウ・ウソン。そしてもう1人『神と共に』で大ブレイクしたキム・ヒャンギ。
そこまでシリアスにならず、時に笑いを挟みながら、全編通して優しい雰囲気を保ち進んでいくが、ここぞと言うところはやはり力を入れてくる。この緩急にいつもやられる。
何気ない、どうでも良いシーンが後になって意味を持つシーンになっていくあの計算し尽くされた展開と構成はお見事と言うしかない。素晴らしすぎて涙が出た。完璧。
なぜ未婚の40代後半の男性が今回の弁護士なのか、なぜ証人が自閉症の女の子なのか。全て意味を持たせてくる。
そして何より、家族の物語というのも忘れてはならない。主人公の家庭環境、証人の家庭環境とそれぞれに家族があり、それぞれに物語が存在する。
巧妙な裁判モノを扱いながら、登場人物にしっかり焦点を当てている傑作。