今日も喉が痛い

実録 私設銀座警察の今日も喉が痛いのレビュー・感想・評価

実録 私設銀座警察(1973年製作の映画)
4.5
初っ端からエグいな。戦争から帰ってきたら妻がヤッてて子供までいて、その子供が黒人との子供で…って重いなぁと思った矢先、どりゃあーのバッシャーンのゴンゴンですからドン引きですよね。「え!?ちょっと待って下さいよ!」と画面に向かって訴えてましたよ。

この物語の中で戦争が生んだ悲劇を一人で背負ってるのは、瞬きせず言葉を発せず吐血しながらヒロポンを打ち、刺され撃たれ復活する不死身のヒロポンゾンビ渡瀬恒彦。狂気!辛い!怖い!

水木しげる先生が戦争から帰ってきて、どうせだから好きなことだけして死のうと思っていたという話もありますが、当時はそういう人って沢山いたんだろうなと思う。水木さんは絵が好きだったから絵を描き続けたけど、梅宮辰夫はタレをかく。
この梅宮辰夫は本当に魅力的で自分の本能に忠実というか、いや実際の梅宮辰夫も「女、酒、金、車しか考えてなかった」ってこれもうまんまなのよね。このキャラ最高だよ。
「天皇陛下が毛唐の親分に尻尾振っちゃう世の中よ」ってセリフも素敵やん。今ならウヨがウヨウヨ沸いて抗議するでしょうけど。

ラストの狂喜乱舞は終末感さえ感じたので『ドントルックアップ』の最後もお祈りなんかではなく、これの方が良かったんじゃないかと思ったね。