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母との約束、250通の手紙のtaraponyaのネタバレレビュー・内容・結末

母との約束、250通の手紙(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

映画『史上最大の作戦』脚本を手がけたロマン・ガリ(ガリー、ギャリとも)の生涯を描く。作家であり、映画監督でとあり、戦後は外交官も務める──とたいへん多芸なのは、全て母親(シャルロット・ゲンズブール)の期待と愛情に応えた結果。と書くと母息子のいい話に思えるかもしれないが、これがいわゆる毒親。うがった見方じゃなく、映画の最後でロマン・ガリがそう言っているんだから間違いない。1938年に、拳銃を息子に渡して、これでヒトラー殺して(私のために)英雄になってこい、なんて普通は言わない。

母親の死後、子を想った手紙が定期的の届くのはよくある「いい話」で、邦題の「250通の手紙」もそれ。ただし本作の場合は「こう生きろ」という、ほとんど脅迫文になっているのがすさまじい。恐怖新聞か。手前に座っていたカップルが「感動しにきたのに、思ったのと違う」なんて会話を交わしていたが、ご愁傷様である。

ポーランド・ヴイルノから追われるようにニースへ行き、そこから大学進学のためにパリへ、「男が戦っていいのは名誉と女、フランスのためだけ」との言葉を守って空軍に入隊。フランス降伏後は自由フランス軍に参加するためロンドンへ。そこで先の言葉の残りを実践してアフリカへ行くことになり、ロンドンへ戻ってからは大陸反攻に参加と、1924年からの20年間の激動が背景に描かれる。あっと言う間の2時間と少し。シャルロット・ゲンズブールの毒親っぷりに笑いつつ、ロマン・ガリの大河ドラマを楽しめる。
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