DaiOnojima

人妻拷問のDaiOnojimaのレビュー・感想・評価

人妻拷問(1980年製作の映画)
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「TATOOあり」「光の雨」「獅子王たちの夏」などで知られる高橋伴明のピンク映画時代の作品。石塚さんのサイト「ピンクサイドを歩け」で興味を持ちDVDを注文。

 輪姦され自殺した妹の復讐のため、犯人3人の妻たちを次々と強姦殺人していく兄の話。深い傷と痛みを負った者の悲しみと孤独が刺すようなタッチで描かれる。兄を演じた主演の下元史朗が大熱演で、最後に運命的に出会った女(丘なおみ)によって、絶望の淵から一瞬だけ救われるラストまで、終始ピリピリした緊張感に貫かれ間然とするところがない。わずか62分というサイズでは主人公の背景やそれまでの人生、殺人に至るまでの詳しい過程など全部すっ飛ばされるのは仕方ないが、それでも説明不足という印象は全くなく、むしろエッセンスだけを凝縮した密度の濃さが感じられ、見終わったあとは深い余韻が残る。石井隆あたりが作ってもおかしくない大傑作。無名時代の大杉漣が凶悪な強姦魔を演じている。

 高橋伴明のピンク映画作品は傑作揃いのようで、いつかまとまった形でソフト化してほしい。(2021/2/14記)
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