外見を今風に取り繕いながら、やってることが相も変わらず手垢のついた富野節=10秒経つとテンションが変わる奇怪なジョン・カサヴェテス的会話劇、という闇鍋じみた産物だが、それなりに面白かった。傑作『エルゴ・プラクシー』の村瀬監督の職人芸によるものかもしれない。
テロリストが主人公というのが良い。ハサウェイ・ノアという人は確かにテロリストが良く似合っている。海でヨットに乗っけってもらい、そこからクルーザーに乗り換えてテロリスト本部に帰還する一連の流れが面白い。津田健演じるテロリストの一味が捕虜になり、取り調べ室で殴られたら次のカットで軍側のモビルスーツに人質で乗せられており、ハサウェイの機体と戦闘になったから軍側に戦い方のアドバイスをするという奇妙な関係性になるのも、やっぱりおかしなシチュエーションで物語を作りたがっているなという印象。ラストの工夫のない終わり方も見事。