メシと映画のK佐藤

劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel Ⅲ.spring songのメシと映画のK佐藤のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作ゲームは未プレイ。
スタジオディーン版UBWの予告編を観て興味を持ち少年エース連載の漫画版stay nightで予習→スタジオディーン版UBW→アニメ版zero→ufotable版UBWの順で鑑賞。
…てな感じの人間が今回の三部作を観た感想と云う事をご承知おき下さい。
また、この感想は第3章だけでなく三部作纏めての感想となります。

一章の「悪い子になったら許してくれますか」と云う桜の台詞、二章で大多数の人間より桜をとった士郎の選択や義兄を殺害し異形へと変貌した桜の姿から、物凄くしんどくも甘美なカタストロフィックな結末を迎えるものと気構えていたのですが、かなりあっさりしたハッピーエンドになっていて拍子抜けしてしまったと云うのが正直な感想です。
最終章だけあって戦闘シーンは物凄く気合が入っていた(個人的には士郎がバーサーカーと対峙した所は武者震いした程。)し、桜が凛に想いを吐露するシーン等々ホロリとさせられる箇所は沢山ありました。
ただ、上述した様に一章と二章で大いなる悲劇の布石を打っていた割には、余りにも綺麗で大人し過ぎる終わり方だったなー…と。
何か他人の不幸を幸福に感じる綺礼の様で嫌なのですが…😅。
パンフ掲載のインタビューにおいて、奈須先生は「セイバールートは誰もが思い描くボーイミーツガール、UBWは理想を追いかける話、HFは理想を捨てる話」と仰り、須藤監督は「第三章のテーマは罪を背負った上で、日常に回帰する話」と仰っていました。
三部作を通して観てこれらのコメントに物凄く納得させられたと同時に、上述してきた様に第三章にイマイチ乗り切れなかった事にも納得しました。
理想を捨てる話よりは理想を追いかける話、日常に回帰する話よりは日常が完全に崩壊する話の方がどうしてもカタルシスに満ちて惹かれると思うんですよね。
ただ、第一部の大部分で日常を描き、第二部でそれが徐々に崩壊する様を描き、第三部でまた日常に戻って行くと云う物語の組立方は綺麗で巧みだったと思います。
第一部の始まりが弓を射る士郎、第三部の終盤で弓を射る桜を描いてた所なんて見事に物語の頭と尻を繋げてるなーと感心した程。
物語の組立方は言う事無しだけれども、それが文句無しに面白かった訳では無い…と言うのが三部作を通した自分の感想です。

士郎が如何にして凛と桜の下へ帰還を果たしたのか、その経緯がほぼ描かれていないので、本来なら心を大きく動かされる部分で感動出来なかったのもちと残念。
イリヤが命と引き換えに救うも、どんな形で帰れるか分からないと言われていたのに割と何事も無く士郎が帰還したので、これまた拍子抜けしてしまいました。
原作ゲームをやっていたら、もう少し違った感想を抱いていたかもしれません。

第三部では綺礼が如何に欠陥を抱えている人物なのか、奥さんも含めてかなり踏み込んだ描写がされていました。
なので、zeroで抱いていた主に綺礼周りの消化不良感なかなり解消されたのは個人的に嬉しかった部分です。