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ロマンスドールのayappeのネタバレレビュー・内容・結末

ロマンスドール(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

いやー、考えれば考えるほど、そこ知れぬ怖さを感じる映画だった。

「人形」という言葉、今まで気づかなかったけど「ひとのかたち」と書いて「人形」。必ず消えてしまうものの「かたち」を残しておきたいという人間の切実さ。執着。

「わたしを作って」という園子の言葉と、死の瞬間までセックスして「遺しておきたい」という思いがひと続きになってる。それがてつおにつながって「そのこ」として結実するんだろうけど、

多くの人が書いてるように、一般的には自分のパートナーを模したラブドールが100体も作られていろんな人の手に渡り、好きなように使われるっていうのは嫌なものだと思う。

でもあの夫婦にとってはそうまでして「遺したかった」。現実なら周囲の人が「いやいやいや…」ってなる筈なんだけど、工場ぐるみでどんどん生産して逮捕までされちゃうっていうのが、あの映画全体で常軌を逸してることを表してる。

思えば最初から違和感はたくさんあって、胸を触るだけで好きになったり、医療用の乳房を作るためとウソをついてモデルの胸を触ったりとか「そりゃないよ」が満載なんだけど、すべてはあの世界観を成立させるための力技なんだろうな。

多分、「性」は「生きること」であるっていうのがこの映画のテーマで、最後の「すけべでいい奥さんだった」っていうのは、「おれの奥さんは生ききった」ってことなんだよな、きっと。

2人とも浮気しちゃうけど、「生きたい」っていうエネルギーの対象が必ずしも1人の人に向かうわけじゃない、だからといってその愛情がウソになるわけじゃないってことなんじゃないかな。最後に2人が笑い話として浮気のことを話題にするけど、その程度のことってあの2人にはわかったんだろうな。
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