このレビューはネタバレを含みます
心を抉られるような映画だった。
「あなたがわたしもドンウンのことも消したのよ!!」ってジニョンが言った時は夫婦だからって辛辣すぎやしないかと思ったけど、まさか記憶を何度も何度も失っていたとは思わず、画面の前で呆然としてしまった。
ソグォンの中にあんまりにもジニョンが不在すぎる気がして、映画を観終えるまで思い出してくれないかと思っていたけど、最後までジニョンのところだけぽっかり記憶に穴が空いてるような感覚が恐ろしかった。
でも観終えて色々と回想していく内、ソグォンが母親に言った「いっそ死んでくれたら良かったのに」という言葉、ジニョンが言った「あなたのお母さんに重ねないで」という台詞、ソグォンがジニョンに憎々しげに言った「自分の傷を自慢するな」という言葉…
ドンウンが死んだ時から、ドンウンに重ねていた自分自身も、母親に重ねていたジニョンのこともソグォンの中で死んでしまったんだと思う。「私を忘れないで」はソグォンがジニョンに言っているのと同時に、母親にも幼い自分の存在を忘れてほしくなかった。
いやいやだからといって、あのお嬢さん(ジニョン)の人生はよ、と思うんだけど、ソグォンにそこまで巻き込まれてしまう業がジニョンにもあるってことなんだよな。早くに両親亡くしたって言ってたしな…。
人をケアしたい人は、その人もまたケアされたい人なんだよな。ケアすることで自分の何かも癒やされていく。