正直に言うとミュージカル映画は苦手で、今まで見た作品のほほ全てで「なぜ、今ここで歌い出すのか？」というミュージカルファンに怒られそうな感想を抱いてきた。そういうわけで、きっと私にはミュージカルは向いてないんだろうとなんとなく考えていた。
この『イン・ザ・ハイツ』も、面白そうだけどきっとそこまででもないよねという、低めの期待をもって映画を見始めた。が、始まってすぐに、その考えが完全に間違っていたことに気がついた。
歌も踊りも自然に作品に溶け込んでいるように見える。ある種の（私の苦手な）「ミュージカルらしい」作品とは何かが違う。それは、ラップが語りに近い音楽だからなのか、ラテン系の人々の血に体に音やダンスがごくごく自然に息づいているからなのか、一体なんなのか。
ともかくこれは、私にとって人生で最も好きなミュージカル映画になるだろうという予感がし、見終えたいま実際に大好きな1本となった。
