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イン・ザ・ハイツのakuruのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
5.0
 コロナ禍でも映画館で見てよかった作品No.1もの。この時期に見るからこそ、刺さったミュージカル。働くとは何か。生きるとは何か。答えは永遠に出ないけれど、それでも私はウソでも大げさでもなく、明日から働くパワー、生きるパワーをもらった。ラップと大地を踏む力強いステップで、冒頭の500人の総踊りから涙が出た。いま元気がほしい、全世界の人々に届いてほしい。(ここが終わった直後に入ってきたカップル、今チケット代8割損したで……とおせっかいに思ってしまってほんとごめんな!)

 移民問題は、私達島国の住民には縁遠い、ピンとこない話。ウエストサイドストーリーがアメリカより受けないのもこのせいだろう。けれど彼らの悔しい思い、憤り、それは同じ人間として感じていたい。
 優踏生ニーナの思い。自分のせいじゃない、努力はめっちゃしてる、なのに血のせいで蔑まれてひとりぼっち。期待に応えられない優踏生ならではの葛藤。涙がポロポロでた。わかる、期待に応えられない自分が嫌なの。ワシントンハイツを歩きながらのソロ曲は力強くてでも自分は負けて帰ってきた、という自責の念が強い。君は十分戦ったよ、君が帰ってきてくれて嬉しい、おかえり!と笑いかけてくれるベニーがよかった。この二人の最後のデュエットは、壁にかけて飾っておきたいほど素敵なシーン。
 好きな場面を挙げればきりがない。カラフルな場面に心が躍る。色とりどりのスカート、赤、ピンク、黄色。プールの場面のド派手な場面に高揚して、久しぶりに歓喜した。
 生きてる!私ちゃんと、血が通ってる!!小さなことから尊厳を。満天の星、きれいな刺繍のハンカチ、96000ドルの宝くじ。小さなことから奇跡は起きる。終わった瞬間、ブラボー!!とスタンディングオーベーションしたくなる。
 朝からサントラをかけると、私もワシントンハイツの住民。あんなふうに歌って踊りはできないけれど、とりあえずあの美容院でゴシップ参戦から始めようかな(笑)
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