イソップ寓話「アリとキリギリス」を題材にした文部省映画。
怠慢なキリギリスらを西洋人に、アリを日本人に例え、勤勉に働くことを正しく教育する。
何より絵がきれい。アリと蛙、キリギリス、蝶が登場するが、どれも細部まで丁寧に描かれている。
この監督であり作者の村田安司の表現力は、作品解説(https://animation.filmarchives.jp/works/view/86947)によると、当時の広告文で、「霊腕」と称していたとのこと。納得のいく絵のうまさである。
またこの作品は、「宮内省に献上して天覧に供し」たそう。映画を天皇に献上した時代があったことにまず驚く。そしていかに国体に沿った話であるかも分かる。
教育メッセージには反発したいが、表現力は巧みで一見の価値がある。