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ゴーストバスターズ/アフターライフのEikeのレビュー・感想・評価

3.1
オリジナルの「ゴーストバスターズ」は日本での公開は1984年公開だったと思うので今年で38年となります。
すでにリメイクも製作済みだが今回はオリジナルシリーズの直系作となっており、リメイクではなくあくまでリブート、つまり「再起動」を意図した作品ということになります。
監督を務めるのがオリジナルシリーズの監督アイバン・ライトマンの息子さんであるジェイソン・ライトマンであるという点も正統な後継作である印象を強調していますが内容についても元祖シリーズの後日談として整合性が図られております。

最大のセールスポイントはやはりオリジナルのゴーストバスターズの面々であるD・アイクロイド、アーニー・ハドソンそして何よりずっと出演に消極的であったと伝えられてきたビル・マーレーが登場する点であることは否定できないでしょう。
生憎、オリジナルメンバーの一人、スペングラー博士役のハロルド・ライミスは2014年に他界されているのですが、いかにもゴーストバスターズらしいやり方で4人のオリジナルメンバーが勢ぞろいするシーンにはちょっとウルっと来てしまいました。
今回の物語ではそのライミス氏が演じたスペングラー博士の死がプロローグとして仕立てられており、その点でもオリジナルシリーズとの関連が印象づけられております。

しかし、これは強調しておくべきだが本作は決してオリジナル作の「続編」という訳では無く、ダン・アイクロイドたちオリジナルメンバーの扱いはあくまでファン・サービスの範囲に収められております。
つまり、単に懐古趣味で企画された作品ではないという事です。
ではストーリーを動かすのは誰なのかと言うとスペングラー博士の一人娘ケイリーの二人の子供(つまりスペングラー博士の孫たち)トレバーとフィービー兄妹。
経済的苦境から長年疎遠だった祖父が遺したオクラホマの片田舎の農場をしぶしぶ引き継いだ一家がその地で超常現象に見舞われて…38年前にNYで目覚めた人類の存続を脅かす邪神の復活の時が迫る…。

2016年に製作された「リメイク版」では女性陣が奮闘しておりましたが打って変わって今回は10代の子供たちが重責を担っております。
特徴はまず舞台をオクラホマの片田舎に限定した点。
オリジナル&リメイク版では舞台はNYでしたが今作は正反対とも言える何処とも知れぬ小さな田舎町に舞台を移したことで自然と印象に違いが生まれております。
次にファミリードラマとしての骨格。
疎遠だった亡き祖父との和解と家族の再構築がバックストーリーにあり、家族ドラマとして目新しさはありませんが、だれにとっても馴染みやすい内容になっております。
Marvelスタジオのアントマン役でおなじみのポール・ラッドが華を添えておりますがあくまで脇に徹しているあたりは逆に好印象と言えるかもしれません。

実質主演ともいえるフィービーを演じるマッケンナ・グレース嬢が祖父であるイーゴン・スペングラーとそっくりであることや彼女が演技達者であることが最大の収穫かもしれません。
しかしお話そのものについては如何にも便宜的な物で、やはり本作は元祖ゴーストバスターズのレガシーをどのように再興させるかの一点に集中した内容といって良いかと。
その点からすればオリジナルの少なくとも第一作を見ていないとやはり本当の意味では楽しめない気がいたします。

他のレビューを眺めて気付くのはオリジナルの「ゴーストバスターズ」をご存じない方が意外と多いこと。38年前の作品ですから当たり前ですけどね。
アメリカにおいてはオリジナルのゴーストバスターズはスターウォーズやインディ・ジョーンズシリーズなどと同様、ある種のアイコンであると言えるでしょうか。
つまり世代や人種を越えて「誰でも知っている/見たことのある作品である」という事です。
ですから本作が大きな注目を集めたことは理解できます。
しかしこうも次から次に80-90年代のヒット作の「焼き直し」作品が続くというのは必ずしも手放しで喜んでもいられない気がしてきますがどうでしょうか。
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