IkTongRyo

ゴーストバスターズ/アフターライフのIkTongRyoのレビュー・感想・評価

3.6
伝説の初代とファンを大切にした、愛とリスペクトに溢れた続編。
80年代のコメディ感は影を潜め、冒頭からシリアス調で始まる今作。

アレンジされたBGMや、初代に出てきたゴーストトラップ、そしてPKEメーターなどが早速登場し、れっきとした『ゴーストバスターズ2』の続編だということが感じられる。

シリアスとホラー調が強調される一方で、物語の主軸は”家族”や”子供の成長”にシフトされている。

ビジネスライクかつおちゃらけた80年代とは違い、よりハッキリとしたテーマを持った今作は正に2020年代にマッチした作品へと進化している。

現代における社会問題である、薄れた家族の仲。
分断を生み出すスマホや地域格差。
シングルマザー問題など。

舞台をニューヨークではなく中西部へと移したことにより、事業としてのゴーストバスターズではなく、人と人を繋ぎ止めるためのゴーストバスターズが中核を担う存在になっているのが印象的。

また『グーニーズ』や『ストレンジャー・シングス』のように主要キャラクターを子供たちにしたことで、親や子供ならではの葛藤が描きやすくなっている。

人種や性別に関する配慮(ポリコレ)も散見されるが、内容に溶け込んでいるので不自然さは見当たらない。

主役のフィービー(マッケナ・グレイス)は女児だが孤独なオタクという意外性を持ち、アジア系のポッドキャストは初代のダン・エイクロイド彷彿とさせるようなギャグキャラ。俳優のローガン・キムも演技が上手。

兄のトレヴァーことフィン・ウルフハードは『ストレンジャー・シングス』を連想させるような役回りが面白い。

一方で、物語は初代の焼き回し感が強く、笑えるゴーストの演出が控えめなのは気になった。

マシュマロマンはあくまでもファンサービスみたいな扱いで、魅力的な新ゴーストなどはいない。

そしてポール・ラッドという大俳優が出ているにも関わらず、あまり活かせきれていない印象だった。

総合的に見てノスタルジーに浸ることができる、いい作品です。
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