あんがすざろっく

レオンのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

レオン(1994年製作の映画)
5.0
「嵐の前の静けさは最高だな」

そうっすね、スタン。最高っすね(冷や汗)‼︎

キャッチコピーは「凶暴な純愛」。
これ程までに作品を表現しきるコピーがあったとは。

この作品が公開されたのが1995年。僕はこの頃はまだミニシアター系にも目覚めておらず、アクション映画も、ゴリゴリガツガツのアクション超大作が好きだったので、こんなにスタイリッシュなアクションがあったのか‼︎と感動を覚えたものです。余計な贅肉を削ぎ落とし、必要なアクションのみを描く。作品が伝えたいことが、全て凝縮されている。オープニングが素晴らしいんですよ。カメラが凄いスピードで走っていく。それが海面を渡っているようだと気付くと(まるで鳥の視点のよう)、カメラがパンアップし、手前に緑の広がる公園、奥にビル群が立ち並ぶ。そしてタイトル。ここで僕はやられました。もう完全に映画の世界に入り込んでしまいます。

女子供は殺さないというルールを持つ孤独な殺し屋、レオンと、家族を殺された12歳の少女、マチルダ。二人はニューヨークの片隅で出会う。無口で不器用な殺し屋と、どこか大人びた、復讐を誓う少女。
自分のもとに転がり込んできた、まるで子供と同じような年齢のマチルダに、最初は戸惑うレオンであったが、彼女と過ごすうちに、忘れていたはずの思いが蘇ってくる。大人を嫌っていたはずのマチルダも、レオンには心を開き、「あなたに恋をしたかも」と告白する。
お互い愛からは見放されていたはずの二人が見つけた、安らげる場所。
しかし、そんな二人の元にも、暗雲は確実に近づいていた。

父親と娘ほども年齢の離れた男女の間にあったのは、恋愛感情だったのか。いや、多分、もっと根源的な、人を愛するという気持ちに気付かされたんでしょうね。だから純愛なのだろうと。最近、ようやくそう思えるようになりました。
ナタリー・ポートマンが素晴らしい‼︎子役で終わるかと思ったら、見事ステキな女優さんに成長しましたね。彼女の成長をリアルタイムで見れたのも、本作との出会いのおかげでしょう。
総じて、必要以上に映像を見せない作品だと思いました。
トニーのことを話せば、彼は本当にレオンやマチルダの味方だったのか。勿論、味方だったのでしょうが、あの後、トニーはマチルダにお金を渡してくれ続けたのか。
映画ではそれを描いていない。トニーの背景も描いていないから、彼をどこまで信用できるか分からない。でも、だからこそ、観客に色々な想像を掻き立てるのだと思います。トニーの店にいた初老の男も、一体どんな人物だったのか、とかね。
本当に、全てが完璧に機能した作品だと思います。
エンディングに流れるシェイプ・オブ・マイ・ハートも泣かせます。

さぁ、でも自分にはここからが本文(笑)。
本作の軸になるのは、レオンとマチルダの純愛です。しかし、そもそもマチルダの復讐心、彼女を悪の手から救おうとするレオンの姿があったからこそ、二人のドラマが盛り上がったのです。
ではその立役者は誰か。
それは勿論、悪徳捜査官スタンフィールドです‼︎
キタ〜〜〜ッ‼︎‼︎
ゲーリーッ‼︎‼︎
もうね、彼が登場して、その背中見ただけで、ゾクッ。
振り返って、見据えられただけでゾクゾクッ。
この後、スタンによるガサ入れ(‼︎)がある訳ですが、僕はこのシーンだけ繰り返して見たい‼︎
やることなすことイってしまってる。
映画の中の悪役って、とても大事だと思うんです。
悪役が主人公を追い詰めれば追い詰める程、観客は主人公に感情移入してしまいますからね。
だから僕は、悪役が魅力的な作品が大好きです。
本作のゲーリー・オールドマン然り、ブラックレインの松田優作、ダークナイトのヒース・レジャー、ダイハードのアラン・リックマン、アンタッチャブルのデ・ニーロ、ザ・ロックのエド・ハリス然り。悪役なら好きなキャラクターが幾らでも出てくる(笑)。あっ、一番分かりやすいのが、スターウォーズのダースベイダーじゃないですか‼︎
こんな人が身近にいたら困るけど、だからこそ非日常の世界である映画の中で見ると、気になってしまうんですね。

ちなみに、作中でマチルダがスタンにトイレで尋問(‼︎)されるシーンがありますが、撮影時、ナタリー・ポートマンは本当に怖くなって泣き出してしまったとか。ありゃ泣くよな(笑)。

そんな訳で、僕にとってはゲーリー・オールドマンのエキセントリックな演技だけで、ご飯何杯でもおかわりできます、はい。

DVDで何度も繰り返し見ておりますが、一度テレビの地上波で見た時、ゲーリーの吹替を山寺宏一さんがあててました。
前述のトイレのシーンで、スタンがマチルダに名前を聞くんです。
“what's your name,sweet angel?”

山ちゃんが吹替すると
「お名前何てェの?」となる。

もうね、ヤバいですよ。参りました。ゲーリーの吹替は、今後全て山ちゃんにやって欲しい。

「ニキータ」のヴィクトルのキャラクターを膨らませたのが「レオン」ならば、是非ともスタンを主人公にした映画を‼︎
いや、それはヤバイか(笑)。
あっ、スタッフもキャストも、キャラクターも全然違いますが、悪徳警官を扱った作品なら「トレーニングデイ」がありましたね。あのデンゼル・ワシントンも大好きでした…。


ゲーリーついでに、ベッソンと彼が次作「フィフス・エレメント」でも組んでますが、こちらのゲーリーも違う意味でイっちゃってます。
ちょっとレオンのセルフパロディも入ってます。また爆死(笑)。
遊んでるな〜。
最後はレオンのレビューというより、ゲーリー・オールドマンのレビューになってしまいましたね。失礼しました。
あんがすざろっく

あんがすざろっく