takaori

メトロポリスのtakaoriのレビュー・感想・評価

メトロポリス(1927年製作の映画)
4.0
2023年185本目

SF映画の金字塔。100年近くも前に作られた映画だが、すでに完成されたクオリティの高さ。どのショットも「どこかで見たような」と思うのだが、それはつまり、その後のSFの「近未来」のイメージは、基本的にすべてこの映画からインスピレーションを得ているということであろう。『スターウォーズ』や『ブレードランナー』など、誰もが知るSF映画に繋がっている。
またストーリーや構成の面でも、超管理社会、階層間の格差と分断、労働者の暴動、ロボットと人間の境目の曖昧さなど、SF、とりわけディストピア・フィクションの典型的な要素はすべてそろっている。時代的にはとりわけロシア革命の影響が色濃く感じられるが、その後の100年間で世の中がどう変わってきたかを振り返れば、まさに予言のような作品である。
印象的なのは、暴動に走る労働者たちの姿が、まるでゾンビものの映画のように見える点。ロメロの『ゾンビ』や、『バイオハザード』などの映画にも近いシーンがたくさんある。そうした方面にも影響しているのだろう。
takaori

takaori