フジタジュンコ

貞子のフジタジュンコのレビュー・感想・評価

貞子(2019年製作の映画)
1.5
貞子関連作品はほぼ見ている。
その中でも今回の貞子は突出して面白すぎる。めっちゃ頑張ってる。無関係の人々まで呪い殺さないといけないから、色々なところに現れ、ひきこみ、ずぶぬれになり、エグい角度でプロレス技を繰り出し、こんな制作費も少なくて興行収入も望めなくてヒロインはじめ登場人物全員がやたら棒演技のクソダルいドラマの中で、唯一輝いている。貞子、かぶいてる。そう、もはや貞子は歌舞伎だ。現れたら「よ、山村屋!」と、声をかけるべきである。

そんなわけで、現代の歌舞伎であるところの「貞子」です。
リアリティ(日常)の中の異形であることが、貞子の面白いところなのに、この作品ではもう最初から日常を構成する要素が全部テキトーで、気持ちがそがれてしまってまったく没入できなかった。

病院で子供たちがミニ貞子を「ななしのごんべえ」ってはやしたてたり(今どきの小学生、名無しの権兵衛なんか悪口にならないでしょ)、ヒロインのふるまいがカウンセラーとしてはしてはいけないことだらけだったり(患者の横になんか座らないし、激昂した患者への対応もできてない)、YoutuberへのコメントがYoutueでもTwitterでもなくてなんでわざわざ5chやねんと思うし、ICUはそんな症状で入れねえよ!と、つっこみどころ満載。とにかくテキトー。雑。
なんぼネタでしかなくなった「貞子」とはいえ、もうちょっとまともに考えて扱ってあげてくださいよ。

「リング」からしてたいして怖くないし、設定勝負なのに、貞子が何者かわかったあとでどんどこシリーズ量産されちゃって、山村屋になっちゃった貞子には貞子たる理由がもうないんだよな。死んでまで呪うのめっちゃめんどくさくない? プロ野球の始球式までやったし成仏してよくない??