フォンザヲ

アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場のフォンザヲのレビュー・感想・評価

4.5
現在フィンランドが何故先進国として世界をリードする国になったのか。安い言葉だが、名も無き英雄が命をかけて国を守ったからである。

タイトルに沿って、各人物像は必要最低限で描かれている。逆に言えば誰かが死んでも、それほどショックを受けない。呆気ない。淡白。これが戦争における命の単位なのだと思った。死は血の赤ではない、死は白なのだと。
戦争において、英雄とはその死の単位を狂わせる概念に過ぎない。
本作は徹底して戦争のheroismを排除して、死の単位をありのまま描写している。死に個性、上下、敵味方の意味をつけることすら避けているように感じる。つまりは死の平等性、その彩色の巧みさに度肝を抜かれる作品なのである。
死の淡白さは、フィンランドの冬景色とシンクロしている。冷暗耽美である。
フォンザヲ

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