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燃えよ剣のmatchypotterのレビュー・感想・評価

燃えよ剣(2021年製作の映画)
4.0
新撰組、副長、土方歳三。その半生と“彼の筋”を描く。
この辺の歴史が好きな人ならどハマりできる。

あたしも例に漏れずその1人に。血が騒いだ。
別に血の気も多くなく、剣術の覚えもないのに血が騒いだ。

個人的に好きな新撰組。
今住んでる場所もまた彼ら新撰組のゆかりの地。
というか、土方歳三が生まれたとこの近所。

この作品でも結構良い味出してるおじさん、“源さん”こと、六番隊隊長、井上源三郎。
彼の実家も、うちから目と鼻の先。ちょくちょく前を通る。今は新撰組の資料館になってる。
この作品に資料提供もしてた。

前から思ってたけど、岡田くん。
土方歳三のキャラクターのイメージにぴったり。
数年前にやってた三谷幸喜の大河『新撰組!』で土方やってた山本耕史も割と好きだったけど、この岡田くんの方が、“鬼の土方”っぽい。

彼もインタビューで「いつか彼を演じることになると思ってた」って言ってたけど、このために彼のここまでの道があったのか、と思えるほど、岡田くんにも、土方歳三っぽい“筋”を感じた。

土方は近藤勇と幼き頃からの旧知の中で、彼に媚びず、へつらわず、されど近藤を新撰組の顔とすべく、顔を立て、そのために手を汚すことも厭わず、己の道にまっすぐにストイックに。

あの有名な新撰組の鉄の掟“局中法度”を定めたのも彼。
勝手にお金稼いだら、切腹。
私事で喧嘩したら、切腹。
勝手に裁判したら、切腹。
仲間を売ったら切腹。
その他、隊の規律を乱す武士らしくない行為、切腹。

今や、守らない方がおかしい法度。
これを定めないとまとまるにまとまらないほど、有象無象の剣客の集まり、それが新撰組。

もう、ぶっちゃけ、喧嘩屋、チンピラ集団と言っても過言ではない。

そんなヤツらが己の腕っ節と、運と、気概だけで、京都所司代の信頼を得て、徳川家の護衛筆頭の暗殺集団に上り詰められたのは、一重にこの土方歳三の志の賜。

実際、めちゃくちゃ強かったらしい。
池田屋も、30〜40人いたとされる長州の志士達を少数精鋭で切り込み圧倒したことで、より名を轟かせる。

本作は、そんな新撰組の生い立ちや、攘夷と討幕が渦巻く乱世を駆け抜ける新撰組を描く。

そして、それだけではなく、大政奉還が為され、江戸幕府が実質解体され、近藤勇や沖田総司の最後もあり、結局、新撰組が逆賊として追われ、どんどん組織が散々となり、土方歳三が終わりを遂げる五稜郭の戦いまで描き切る。

最後の侍魂の集団と言って良いこの新撰組を通して土方が最後まで通した筋。

「バラガキの筋を通したら新撰組にあった」

剣の道に生きるなら、ただ人を殺して名をあげるではなく、筋を通して切り開く。

「形が良くない」

歴史的に見れば、結果的に“負けた側”ではあるが、今の世に至るまで、その名を轟かせ、生き様を残し、確実に影響を残す新撰組と土方歳三。

新撰組自体が、この乱れに乱れためちゃくちゃな時期に数年だけ存在しただけの部隊。

それが、ここまで名が残るということは、その当時、どれだけ圧倒的だったか、ただただ強いだけで後先考えずに出たとこ勝負の組織ではないことがよくわかる。

そんな歴史のロマンも感じられる作品。

土方歳三の殺陣指導は岡田くん。
『ファブル』しかり、いよいよアクションがプロの域。

岡田以蔵役の村上虹郎、別の作品でも岡田以蔵をやってた気もしないでもない。

この頃は色んな歴史的な人物がいるが、その辺はしっかりこの話に必要不可欠な人物に絞ってとことん掘り下げようとしている感も良かった。

芹沢鴨、どこで観ても腹黒いヤツだな。
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