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窮鼠はチーズの夢を見るのギャスのレビュー・感想・評価

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)
3.3
予想以上に踏み込んだ描写だったので少し驚いたが、全体的に暗くて湿っぽく、相変わらずゲイであるが故に同情を買うような悲哀たっぷりの話だったのでそこは古いメロドラマだなと。

しかし、今ヶ瀬の"引け目がありかつ好きになった方が完全に負け法則"が心情細やかに綴られていて、裏腹な行動にも共感できる。フラフラとその時その時の愛に流されながら生きる大伴にも。


"好きになってくれる人"という言葉に
大伴らしさが出てる、という台詞は秀逸。
こちらから好きになることばかりが人生だった人間と、
誰かに好きになられて流されてきた人間と。
「全てにおいてその人が例外になる気持ちが本当の好きという気持ち」そこに気づくまでの長い道のり。

ラストのベッドでの今ケ瀬の号泣シーンは、個人的にはベッドシーンじゃなかった方が彼の空っぽな気持ちに奥行きが出たのではないかと思ったが。


タイトルを改めて考えたが、
瀕死にまで愛情が追い詰められたとき、
対極にある一番遠い最高の幸せを夢に見て感情を麻痺させてしまう、死を覚悟するということなのか。
よくわからないままだが、観る人それぞれの解釈を許すタイトルだ。
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