フォード社の社運を賭けたル・マン24時間レース。優勝常連かつライバル社であるフェラーリに勝つために立ち上がった、エンジニアのシェルビーと破天荒な天才ドライバーのケンマイルズ、2人の熱き男たちの話。
実話に基づいたtheアメリカンな王道映画。レース上では「フォードvsフェラーリ」だが、社運を左右する上層部との内部争いという構図として見ると「フォードvsフォード」にも感じる。レーサーからすれば"勝つことが全て"だが、経営する側からすれば商売・宣伝する事も目的であるから、バランスが難しい。
そう考えるとレース最後のケンの選択は色んな物が伸し掛かった選択だったのだろう。けどあの場面のケンの表情を考えると、そんな深い事は考えてはいなく、ただやりたい事をやりきった表情にも見えた。奥さんと息子の喜ぶ姿からもよく分かる。
もう一つ印象的だったのは、ケンマイルズをチームに残すかを賭けたデイトナ24時間レース。「7000+ GO LIKE HELL」というボードを掲げたシェルビーに対しギアを上げ応えるケンが、最高にブチ上がってたまらなかった。様々な対立を描きながらもケンとシェルビーの友情だったり、奥さんや息子との家族関係も深く描かれていてストーリー面で見ても面白かった。
今作は主役であるマット・デイモンの深みとクリスチャン・ベールの形から入る役作りがとにかくベストマッチしていた。