DJあおやま

フォードvsフェラーリのDJあおやまのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.2
マット・デイモンとクリスチャン・ベイルの初競演という触れ込みだけで鑑賞を決めた。それくらい2人とも好きな俳優だし、絶大な安心感を与えてくれる存在だ。そして、期待通りこの2人の演技は素晴らしく、昨日観た『パラサイト 半地下の家族』に感じた違和感はキャスト面での迫力の物足りなさだったのだと確信した。もちろん、ハリウッドスターが出ていればそれで良しではないが、どうしても自分はスクリーンにデカデカと映るハリウッドスターに胸が高鳴ってしまう。
はっきり言って、1960年代のモータースポーツはおろか“車”自体にまるで知識も興味もない。ただ、そんな自分でも153分間まったく飽きることなく楽しめた。それは、“ル・マン”というレースの背景に、企業抗争や社内の確執、家族愛や男の友情がしっかりと描かれているからだ。もちろんレースシーンは迫力満点で、エンジンの轟音やスピード感のある映像に血が滾るが、その他のシーンも男たちの矜持のぶつかり合いを描いた、胸を熱くする展開ばかり。史実通りとはいえ、クライマックスからエンディングまでお涙頂戴的なサムい演出も一切なく、幕引きまで美学を感じる作品だった。
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