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フォードvsフェラーリのsomaddesignのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
5.0
少年ジャンプ プロジェクトX 池井戸潤

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C・シェルビーってシェルビーマスタングやコブラのシェルビーか!
車名の由来を考えたことがなくて、人名を冠した車だって今更知った。映画や漫画で散々見てきたハズなのに、考えたこともなかったよ。(実車を見たことないのが悲しい😢)

60年代無敵の強さと速さを誇ったフェラーリだったけど、肝心の本業が火の車なのがまず面白い。買収されるにあたって、フィアットにより高値で(かつレース部門の全権維持)売るためにフォードを踏み台にしちゃう強かさ。激怒して復讐に心血をそそぐヘンリー・フォード2世の幼稚っぷり。当然話を盛ったり、時系列を前後してる部分はあるにしろ概ね実話なのが愉快。

ジェームズ・マンゴールド監督といえば、「コップランド」「17歳のカルテ」といった傑作から、近年は「LOGAN」や「グレイテスト・ショーマン」といったブロックバスター映画まで大ヒット続き。今作もCGに頼らず実車をバンボコ吹っ飛ばす金のかかった迫力のレースシーンと、じわじわと染み入るようなドラマパートの陰影が見事。

骨太で男汁多めの作風から一転というか原点回帰なのか、少年マンガなスポ根熱血少年マンガ映画で超面白かった! 殴り合って仲直り…って何年かぶりで見たよ!(((o(*゚▽゚*)o)))

てっきりフェラーリに対抗するマシン開発がメインかと思いきや、フォードの上役と現場の乖離が主軸。ハリウッドで池井戸潤なクソ上司vs健気な現場の痛快劇を観た。
IMAXで見れば良かったと後悔するほどの大迫力のレースシーンはもとより、多層的なカメラワークや暖色系でドライ、ザラついた風合いのフィルムっぽい映像から幻想的な夕景まで映画ならではの映像の快楽満載(一番肝心なゴールシーンがCGなのは興醒めたけど)

エンツォ・フェラーリの激似っぷりに始まって、ヘンリー・フォード二世を演じたトレイシー・レッツが相変わらず、卑近で金だけはある嫌味なデブを好演。こういう他人の威を借りて威張る金持ちを演じたら世界一じゃないかと思う。2世本人が死んでて良かった!
クリスチャン・ベールが完璧なイギリス労働者階級な英語で喋ってるのが新鮮だし、何度目かの激ヤセでケン・マイルズに寄せてた。
過度な体重の増減は今度こそこれで最後!と言い切り、「体重の増減を役作りの真剣さの指標にされがちな風潮はどうかと思う」と苦言を呈してた。その風潮の元祖みたいな人なのに🤣
マット・デイモンがテキサス訛りでケン・マイルズとやり合うのも楽しいし、仲間のためにあの手この手で上司の説得を試みるトンチ合戦がアフレック兄弟との絆の深さを連想してしまって泣けた。


痛快劇なのに、主人公サイド(の親玉)がクソ野郎で終わるのも斬新。フォードから訴えられないか、心配になるほど。

調べたら、シェルビーはフォードで数々の名スポーツカーを残し、アイアコッカ副社長はのちにフォードの社長に就任。オイルショックと日本製小型車の台頭による低迷から経営再建に多大な功績を残すも解雇。クライスラーの会長に請われて同社社長に就任すると、シェルビーと共にダッジ・バイパーという名車を残すのでした。

ああ、アメ車の歴史やレース史に詳しければもっと楽しめただろうに。自分の知識の乏しさが恨めしい。


6本目
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