れおん

フォードvsフェラーリのれおんのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.8
シェルビーとマイルズ、同じ世界で同じ信念を持った二人の熱い闘い。彼らが立ち向かうのは、そんな彼らの信念を利用しようとする者たち。限られた資金と時間を使って、プライドのその先にある夢を追う。

アカデミーにおいて、編集賞と音響編集賞獲得するのも納得。映像と音響が噛み合った臨場感の演出、ストーリーの展開の持ち込み方が見事だった。レースシーンのみならず、二人の男の「人生をかけた物語」として、見応えのある作りになっている。

シェルビーもマイルズも、お互いを理解し合う関係なのに、プライドがぶつかり、不器用さ故に衝突してしまう。縛られた環境下において、二人は最善の策を選択するしかない。正しい選択ではないとわかっているのに、その選択をしなければならない。向いている方向は一緒でも、進まざるをえない道は別々。所々で交差する二人の友情はなんとも美しかった。

そして、運命の悪戯が訪れたとき、言葉にしがたい現実に彼は路頭に迷ってしまう。ピーターとの会話、モリーとのアイコンタクト。あのラストシーンに、同じ夢を追いかけた者同士の絆が垣間見れる。

夢を追いかける人は美しい。ただ追い続けるだけだが、"普通"の人生を歩む人にとっては難しい。
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