ベル製さんがオススメしていたので観たのですが、これがかなりの傑作。最初にまず結論から言うと、恐ろしい若手監督です、若干26歳のアレクサンドル・ゴーチリン!
ですが、予告編を見ると、ヒドイ・・・そういう売り方ですか・・・多分、そういうのを求めて観た人はポカーンってすると思います。ホントクロックワークスもTUTAYAさんも視聴者も、誰にも良い所が無い取引ですよ、コレ・・・
公式の邦題「カリーナ、恋人の妹」という付け方、宣伝文章が「お姉ちゃんより、私を愛して」という文言・・・嘘はついてないけど、限りなく嘘に近い。いや、私はエロスも大事だと思いますし、需要も大変に大きい分野だと思いますよ。でも、そういうのを目当てにしている人たちにこの内容が伝わるか?と考えると、かなり否定的になります。出演者に好みの人はいるかもですけれど。いや、実際かなり整った方、それも美形と言っていい人ばかりですし、プロポーションも凄くいいですけれど・・・でも私は宣伝の人の、サボタージュを覚えます。
はっきり言って、売り方間違えてるし、そもそも売る気が無い、と言われても仕方がないと思います。こういう事があると本当に広告業界の虚飾性を考えてしまいますね。文化に興味がない人は広告業に就かないで欲しいし、広告業はもっと薄給にすべきだと思います。そうならないのが高度資本主義社会なのだとしても。映画「Superbad」(もちろんグレッグ・モットーラ監督作品)の時も思いましたけれど、こういうのは卑怯だと思います。
話しを戻して、この映画はジャンル分けするのが大変難しい映画ですけれど、青春モノに入れても良い気がしますし、文学系に入れてもイイ気がします。が、ジャンルとしてエロスには入らないと思いますけれどね。まぁ卑猥な人は何を見ても卑猥でしょう、空を見ても、美術品を見ていても、エロしか頭にない人はエロい事考えてると思います(そして、人間にはそういう時期もある事は知っています)。
でも、私は文学モノに入れたい、そんな映画です。
ある部屋に立てこもっている20代くらいに見える青年ワーニャはどうやらバッドトリップしてしまった様子で前後不覚、かなり異常事態です。が、なんとかワーニャを助けようとするサーシャ(主人公)とピート(その友人)はワーニャの部屋に入り込むのですが・・・というのが冒頭です。
正直ネタバレ無しでの感想が大変難しい作品だと思います。原題は「Kislota」英語だと「ACID」、つまり「酸」です。このACIDがいろいろな意味で、何度も出てきます。サーシャの視点でストーリィは進みますが、あまり説明がないので、受け手が想像する幅がかなり大きいのが特徴だと思います。私が見た事がある中で、近い感じがするのは「ハートストーン」(アイスランドが舞台の映画 グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン監督)系でもありますし、もしかすると、マイナー系ですが「野性の夜に」(フランス映画 シリル・コラール監督)にも近い感覚あります。でも1番親和性が高くて分かり易い映画ですと、めちゃくちゃスタイリッシュに、モダンにした「汚れた血」(フランス映画 レオン・カラックス監督)という感覚です。個人的にはオマージュともとれるシーンありましたし。
なので、もし「汚れた血」が好きな方なら、是非ともオススメです。
それにしても、本当に、ボカシを入れる基準を止めてくれ。あまりにヒドイ作品への冒瀆だと思いますけれど。
届かないかも知れないけれど、ベル製さん、凄いの観てますね、早く帰ってきてほしい。マジで。