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DUNE/デューン 砂の惑星のarchのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.0
「完璧な映像化」
それ以上でもそれ以下でもない映画であった。

DUNEはそもそも原作のあらすじとしては歯切れの悪いものである。基本的には物語の前半はアラキスに赴任→ハルコンネンからの逃走→砂漠での遭難という流れの中で「予感」と「覚醒」がポールを常に襲うというのがあらすじとしてあり、常に自分以外の何かによってポールは受動的に立ち回る。
そのため物語として単調になってしまい、歯切れが悪くあるのだ。
原作はそんな物語をあらゆるディティールを以て補完して退屈させない訳だが、リンチはこのディティールを捨てて安直にストーリーを追ったために駄作を生み出した。
対して本作はディティールを捨てずに、細かなガバ展開を改変して物語を追った。そのために「完璧な映像化」を成し遂げたのだ。
ディティールとしては、原作の引用癖やシールドの設定、アラキスを緑地化するという最終目標の設定、フレメンの「砂漠力」の演出、砂漠の歩き方など。
改変としてはユエの動機、アトレイデス家の三家臣の効率的な紹介、そして胸中で思ったことやテレパスを別言語や手話に変更したのも天才的。
しっかりと原作のイメージを反映して馬鹿馬鹿しく見えないように作った事が何よりも凄いと思う。

この作品に感じた物語の飛び飛び感やデウス・エクス・マキナによるふわふわ感はそもそもそういうお話です、としか言いようがない。
そこら辺を払拭するほどのストーリー改変はやはり難しかったのだろう。

余談だが、この映画は滅茶苦茶にスターウォーズフォロワーな作品に仕上がっている。ホドロフスキーのイメージが強い分、そのフォロワーっぷりに残念さとありえたかもしれない「ホドロフスキーのDUNE」に思いを馳せてしまった。
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