山本Q

DUNE/デューン 砂の惑星の山本Qのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.6
シリアスなエンタメをハイクオリティアートアレンジしてかつ作品の肝はハズさない(「ブレードランナー2049」もブレードランナーの続編としてはハズしてないと思う)監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ。それが、映画界にとっては面白エピソード満載(ドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』周りのことです)の「DUNE」。特に近作はSFものでヴィルヌーヴイマジネーション大爆発中。期待するなと言う方が無理な相談。コロナ延期も乗り越え原作も事前に読んで準備万端公開を待ちわびてた。
ちなみにデビット・リンチの「デューン/砂の惑星」は子供の頃好きでよく見てた。最近見返して見てもやっぱり面白かった。リンチファンなので。




(前情報で1作では完結しないことに触れないのはいかがかと思うけど、)映画は大変良かったです。
今回の映画化の方向性としては、ポールに絞ったお話運びとこれでもかと言うぐらい作り込んだ異世界ビジュアル。
お話はテンポよく切るところはさっぱりと切り、極力ビジュアルで魅せ語ると言う判断は、今作を見る限り正解の一つだと思う。
登場人物の政治的な駆け引きのアレコレも「DUNE」の魅力だけど「政治宮廷劇は他にいくらでもあるから、この作品ではやらなくても良い」という判断だと思う。

見所はやはり架空の文化を丸々作り込んだ所。あのイケメンも今作のオシポイントだろうけどこっちはおっさんなんで特に興味はなし。どっちかと言うとジェイソン・モモアのヒゲがなくて凄いびっくりしたよ。素顔初めて見た。なかなか慣れなくてニセアクアマンを見てるみたいで面白かった。
この規模での異世界SF作品。ビジュアルのセンスも相変わらず素晴らしい。洋服やメカ他隅々まで丁寧で興ざめするところもない。巨大な黒くて四角い無骨な宇宙船とかそれだけで作品世界と文化を表現してて、そんなので画面が埋め尽くされてる。
音楽もまるでもう一人の役者みたいに前に出てくるような使い方に感じた。砂漠の民フレーメンがアラブあたりの世界観を模した民族であることを表現していたり、重苦しい使い方で重厚な作品世界を表現してたり。ハンス・ジマー半端ない。もう別次元で音楽なのかもよくわからない。どういう指示の仕方をすると、ああいうものを作ってくれるんだろう。
ストーリーが早足で詰まってる分密度が濃く息つく暇もないし、音楽も圧が強くずっと緊張感を強いられつづける。こんなことが相まって、見たいものを見せてくれるビジュアルは心地よくサウンドエフェクトも素晴らしい、そこに聞いたこともないような音楽が被さりなんともいえない幸福感に包まれる。久しぶりに「マルホランドドライブ」を見た時に近い体験だった。「ブレードランナー」のIMAX上映にも似た感じがあった。映画の域をちょっとだけはみ出したような作品だと思う。なので、ストーリーがとか登場人物がとかはまあそんなに重要には感じなかった。画面がいちいちシズルがあって良かった。

キャストはまた贅沢だけど主役はビジュアルなので、シャラメとレベッカ・ファーガソン以外あんまり印象がない。シャラメにそんなにピンときてないので、さらに印象は薄い。レベッカ・ファーガソンは今までのような超美人というよりは、生っぽいというか人っぽい弱い側面が多く見れて新鮮だった。シャーロット・ランプリングはせっかくなのでもうちょっとお顔を拝見したかった。ハビエル・バルデムとゼンデイヤの出番はこれから。ハビエル・バルデム荒々しくて良かった。ハルコンネン男爵は演出が面白くてよかった。

映画としての感想はあんまりない。凄い至福の体験ができて良かったという感じ。久しぶりにパンフレットも買ってしまった。IMAX上映中にもう一回行きたい。
山本Q

山本Q