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DUNE/デューン 砂の惑星のsomaddesignのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
5.0
155分シャラメお腹いっぱい

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シャラメの王子っぽさを生かした、王子っぷりをお腹いっぱい堪能。
たくさん印象的な顔がいっぱい出てくるけど、自分はジョシュ・ブローリンのジャガイモ顔が好き。ステラン・スカルスガルドがスキンヘッドにして、足の親指みたいな顔してるのも大好きだった。いい顔盛りだくさん。

原作未読。
デヴィット・リンチ版も未見。ホドロフスキーのDUNEも未見。
完全なデューン弱者でも楽しみにしてたヴィルヌーヴ版DUNE。

ストーリーやビジュアルの初見の印象は「ナウシカ+アラビアのロレンス」。原作に影響を受けた作品と与えた作品なハズなので、そらそう。

ヴィルヌーヴ作品らしい、説明的なセリフや描写がほとんどない。初見だと世界観とストーリーについて行くので精一杯。複雑な思惑や政治的絡まりがあったり、思ってたより目に見えない(直接描写されない)演出が多かった!振り落とされないように2時間半映画にしがみついてたら終わっちゃった。
自分が何を見たのか理解できた気がしないので、慌てて2回目鑑賞。ヴィルヌーヴの映画って大体初見は理解できないこと多し。自分の理解力の低さが我ながら嘆かわしい。


ティモシー・シャラメを筆頭に、俳優陣の美しさにうっとり。
シンメトリーで静謐で冷淡な画面にゾワゾワ。
文明社会の暴虐と自然の容赦ない弱肉強食っぷりの対比。アトレイデス家とハルコーネン家のインテリアからカラーまで対照的な描き分け。モジャ毛チーム対ツルツルチームの対決としても楽しめるし、クマムシかGバリのしぶとすぎる公爵の生への執着は見習いたい。(治療中の薬液からのっそり顔を出すシーンは「地獄の黙示録」オマージュだとか、なんとか)

「メッセージ」「ブレードランナー2049」に続いて、ヴィルヌーヴのオモキモSFガジェットの数々が超楽しかった! あのうまい棒みたいな巨大宇宙船。「メッセージ」のばかうけ型宇宙船に続いて、ヴィルヌーヴは日本の駄菓子が大好き説ある。


見渡す限りの砂漠とサンドワーム。ラピュタのフラップターによく似た小型飛行機。秘密の栽培部屋etc…ジブリ作品や「ナウシカ」に影響を与えたとも言われてる原作。ヴィルヌーヴ監督の日本アニメ愛を鑑みると、原作小説が遠く極東の国まで与えた影響のこだまが、原作に近いトコまで戻って、実写化に影響を与えて見えて胸熱。静かでシンプルに残酷な自然の摂理と、利己的で複雑怪奇な人間世界の思惑の対比だったり、なんだかもうナウシカっぽさがすごい。

彩度を抑えたカラーリングで、モノクロ映画みたいな質感も印象的。昼は灼熱の世界のハズだろうに、むしろクールで乾いた極寒の地に見える。(フレメンの服装からすると、昼の暑さより厳しい日光や、夜の寒さの方が厳しいのかも)

フード描写は少ないものの、序盤の朝食シーンと、中盤の食事シーンの対比が印象的。あのハルコネン男爵のクチャラーっぷりよ! なぜクチャラーが嫌われるのかを体現するような、人の神経を逆撫でる食いっぷり。いかにも悪役らしいクチャクチャとした嫌らしい食べ方がいい。ガツガツと貪り食うんじゃなくて、美食に飽きて退屈そうに食べる(でも食べるのをやめられない)。途中うっかり悦に入っちゃうのがおかしいけど、直後にやっぱり人でなしな行動を取るので「悪人はいつも食卓を襲う」の法則通りだと思った。



面白さを味わい尽くすには、自分自身が全然追っついてない。
ついつい目先の面白さで留まっちゃう。
挙句、鑑賞中何度か村上ショージ師匠の顔が浮かぶ始末(ドゥーン!)
出直してきます!




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