“家で観るんじゃなかった”
続編が絶賛公開中というタイミングで全ての始まりとなる本作を鑑賞。『スター・ウォーズ』『風の谷のナウシカ』といった壮大なスペースオペラの原点にして頂点と言わしめた傑作小説でありながら、幾度も映像化されたのに尽く黒歴史扱いされている。史上最も映画化の困難な企画をドゥニ・ヴィルヌーヴが手掛け、ついにマトモな映画化として21世紀に誕生したのである。
ハッキリ言うが、これは家のテレビで観るような代物ではない。完全に損してしまう。というのも、映画館という限定的な空間、確実に自分で逃げ道を閉ざした環境だからこそ、一見代わり映えしない広大な砂漠の映像、ハンス・ジマーによる重低音響く音楽、毛穴もくっきり見えそうなティモシー・シャラメの佇まいと、没入感しか与えない上質な映画体験が出来るはず。
まあストーリーやアクションは勿体ぶり過ぎ、かつ前編だからという理由で中途半端過ぎるのが致命的。特に集団によるアクションはCG感満載(仮面が開いてのポールの映像が酷い)で、リアルな砂漠の惑星の世界観とのギャップに違和感が拭えず。それにSF映画の原点だけあり、今やるには少々古臭さは否めず、映画としては本作が先代の名作をパクってると言われても無理はないだろう。
単体としては微妙な出来ではあるが、それは自宅という環境で観てしまったのが最大の要因かもしれない。否定派多数だった前作と比べ、続編はTLでも大盛り上がりのため、次こそは劇場で最良の環境でポールの物語の顛末を見届けたいと思う。