サム・クックのことは、知れば知るほど好きになる。その唯一無二の歌声も、穏やかな話しかたや身振りも、高校時代からの恋人と結婚したことも、黒人差別に対して毅然として立ち向かう姿も、、、ぜんぶぜんぶ眩しいほど美しく、好きだ。
人種差別だけでなく、音楽業界における経営者とアーティストとの格差に対しても、立ち向かった。彼は本当にフェアで正しい人間だったのだろうと思う。
当時の黒人にとって、いや音楽を愛する白人にとっても、いや、そのあとに続くロックスターや、彼らを愛するひとびとにとっても、彼は神様だった。
でも、「1964年には、サム・クックの命でさえ、重要ではなかった」。
アメリカの文化は好きだ。友人のアメリカ人たちも大好き。でも、わたしは当時のアメリカを憎む。アメリカが彼を殺した。アメリカの抱える闇が彼を殺した。
「肌の色、宗教、国籍を問わず、立ち上がる勇気のない人間は嫌いだ」